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- 2014年06月26日
- 議会(質問・討論)
- 6月県議会 米田稔県議の代表質問と答弁/②公共交通再編(2014.06.25)
【公共交通再編】
●米田県議
公共交通再編について副知事に伺います。
土佐電鉄の暴力団問題を契機に県が設置した「中央地域公共交通再構築検討会」は、土電と県交通両社を特別清算し、事業を引き継ぐ新会社を10月に設立する再編スキームを確認し、新会社に対し県と12市町村がそれぞれ5億円ずつ都合10億円の出資を求めています。
県民は、公共交通を守るための新会社設立は余儀なしかなと思うものの、元土電会長西岡寅八郎県議の辞職以外、未だ政務調査費問題も含め全容解明がなされず、本来、暴力団との関りなど知りえる立場にあり、また、元県議の個人商店化した土電の経営実態も知りえる監督者としてあったにもかかわらず、その責任を果たしていたと言えない県行政の不作為に対する不信から、出資に釈然としない感を持つ方も多いと言われています。新会社は巨額の行政の出資、税金投入を前提に経営がされます。新たな公金を支出するには県民への説明責任が不可欠であり、それには、県民不信がある従前の土電対応の問題点を原因も含め明らかにする姿勢を示すことも含まれなければならないと考えます。
新会社の設立とそれへの行政の出資額の妥当性をどう県民に説明するのか。そして、この間の土電経営への県の対応をどう教訓にし、新会社の経営に生かしていくお考えなのか、お聞きをいたします。
■副知事
新会社の設立と行政の出資額の妥当性をどう県民に説明するのか、土電経営への対応を新会社の経営にどう生かしていくのかについて、お尋ねがありました。
この4月以降の再構築検討会において、両者の厳しい経営状況が明らかとなり、ともに単独での事業継続は極めて困難であるとの見解が示されたことから、両者の統合のあり方について検討を進めてまいりました。
その結果、安定した財務基盤を確保し、持続可能な公共交通を維持するためには、組織を一体化する経営統合が最も効果的であるとの考え方により、新会社を設立するという結論に至ったものです。
また、新会社に対する出資につきましては、新会社は設立時点において、金融機関からおよそ26億円から28億円の債権放棄等の支援を受けてもなお、実質債務超過の状態にあり、この債務超過の解消や今後事業を展開していくうえで必要となる安全・安心のための設備投資に要する費用などを検討した結果、出資の規模としては、10億円が必要と判断されたものです。
今回の新会社の設立と自治体による10億円の出資は、県民の通勤や通学など日常生活を支える基本的なインフラとして極めて公益性の高い公共交通を維持し、今後も継続し続けること。すなわち、「将来にわたって持続可能な公共交通の構築」をするために必要な支援だと考えます。
県民の皆様に対しましては、株主総会でのご判断を踏まえ、県議会はもとより、関係市町村の議会説明や各種の広報などを通じて説明を重ねてまいります。
土佐電鉄への県の対応についてのお尋ねでございますが、これまで土佐電鉄を含め、県内の交通事業者に対する交通政策上の指導・助言につきましては、適正に対処してまいりました。
特に、平成21年度からは、専任の理事職を置き、高知県公共交通経営対策検討委員会を設置するなど、公共交通事業者、県民代表も交え、積極的に議論を行い、事業者に対する助言、提案などを行ってまいりました。
新たな再構築スキーム案は、全額、行政が出資をする、いわば、県民の会社となりますので、県が出資という形でかかわっていくことになれば、これまでの立場に加え、県民の声をしっかりと伝えるなど、株主としての役割と責任を果たしてまいります。
●米田県議
公共交通中央地域にある12自治体にとっても新会社での住民の移動を確保することの必要性は理解をしているものの、わが地域の住民の足が確保されるのかどうか、また、不採算の地域生活路線維持のために補助制度を見直すとされているが、基礎自治体の市町村に新たな財政的負担がかぶさってくるのではないかとの不安を持っています。公共交通は、社会インフラでありその上に医療・福祉・教育をはじめとする住民生活があることを考えると、住み続けられる地域として再生するために、それが果たす役割が極めて大きいことは言うまでもありません。
住民の移動権を守る立場で路線確保を図るべきだと考えますが、どうお考えか。また、補助制度の見直しをどう図っていくのか、そして新たな財政負担への危惧に関してのお考えをお聞きします。
■副知事
路線の確保や補助制度の見直しをどう図るのか、また、新たな財政負担への危惧に関しての考え方について、お尋ねがございました。
今後の公共交通の再編にあたっては、県としましては、路線バスと路面電車の組み合わせにより、骨格となる幹線部分を確保し、多様な移動手段と組み合わせることで、面的な交通ネットワークを形成すること、公益性が高く、地域住民にとつて必要なバス路線については、行政の支援を含めて維持することを基本として、検討をすることとしております。
また、公益性が高く、地域住民にとって必要であるものの採算が取れない路線を、今後も将来にわたって維持していくためには、補助制度の見直しなど、行政として支援のあり方を検討していく必要があると考えております。
今回の再構築スキーム案は、事業者の経営努力や増収対策により一定の収支改善が見込まれており、両社がそれぞれ単独で事業を行うケースと比較して、行政経費は抑制される計画となっております。
路線バス事業の運営は、事業者の最大限の自助努力が基本となりますが、公共交通を取り巻く環境が今後さらに厳しさを増し、利用者の減少傾向が続くことが想定される中、将来にわたって路線を維持するためには、行政の負担が一定増加することは避けられないものと考えております。
●米田県議
検討会に両社が提出した事業再生計画案では新会社は3ヶ年目には黒字転換するとしています。それは地域住民の利用促進なくしてありえないことは自明の理です。「株主」となった県民が当事者として経営に関する意見が反映でき、徹底して住民ニーズにこたえる取り組みを保障する事が持続可能な公共交通として再生することにつながると考えます。
県や市町村を代表する役員配置の考え方と合わせ、路線や料金、各種サービスへの県民の声を活かした利用促進の取組みをどう進めていくのか、伺います。
■副知事
新会社の役員配置の考え方や県民の声を生かした利用促進の取り組みについて、お尋ねがありました。
今回、県といたしまして、「将来にわたって持続可能な公共交通の再構築」を実現するため、株主総会でのご判断が前提となりますが、出資という形で、行政としての関与を高めるという判断をしたところです。
新会社の役員構成などの具体的な内容につきましては、事業者と県、高知市などで構成される予定の「新会社設立委員会」で協議・検討されることになると考えております。
また、新会社が安定的な経営をするためには、多くの県民の皆様や観光客の皆様にご利用いただくことが必要となりますことから、利用者の意見を反映させることにより、使い勝手のよい路線やサービスを提供する必要があると考えております。
利用者のご意見をお聞きする機会は、事業者や市町村において、多くあると思いますが、県といたしましても、広く県民の皆様方のご意見をお聞きした上で「高知県公共交通維持活性化対策フォローアップ委員会」などを通じて事業者に対して必要な助言や意見を伝えるようにしていきたいと考えております。
●米田県議
交通運輸事業は、運転手などの運行従事者がいて、初めて成り立つ事業です。肉体的・精神的な状態、技術力が安全運行に直結します。事業基盤の強化や人材育成の土台として、安全・安心の労働環境の成立が求められます。これらの取り組みについての考え方をお聞きいたします。
■副知事
安全・安心の労働環境の取り組みについて、お尋ねがございました。
公共事業者にとって、安全・安心な運行の確保とは、何よりも優先されるべきものですし、そのための人材の育成や労働環境の整備の必要性についても論をまたないところです。
今回の検討会におきましても、両社の社長が、「社員の安全・安心に対する意識の高さ」は主張されておられましたし、厳しい経営状況の中にあっても、運行の安全・安心に関する投資には特に意を用いてきたとのお話もございました。
また、土佐電鉄におきましては、日本バス協会が認定する貸切バス事業者の安全評価認定制度で四国で3社しかない「二ツ星」を所得していることも報告がありました。
このように、両業者ともに安全・安心の確保につきましては、高いレベルで取り組みがなされており、これらの取り組みは今後も継続されるものと考えております。
なお、社員の労働環境など待遇面につきましては、先に申し上げました「新会社設立委員会」など社内において協議、検討されるものと承知をしております。