議会報告

  • 2014年03月24日
    2月県議会 4月からの消費税引き上げを中止することを求める意見書への賛成討論 中根佐知議員(2014.03.19)

私は、ただいま議題になりました意見書議案、議発第15号、「4月からの 消費税率引き上げを中止することを求める意見書案」に賛成の立場で討論をおこないます。

内閣府が3月10日に発表した2013年10─12月期実質GDP2次速報値は、消費や設備投資など内需が軒並み下方改定となり、前期比プラス0.2%、年率換算はプラス0.7%に低下しました。昨年10月に安倍首相が消費税増税を判断したさいの昨年4~6月期の3・6%でしたが、7─9月期は0.9%に急減速、そして10─12月期は0.7%とさらに減速という結果になっています。公共事業の積み増しや消費税増税前の駆け込み需要があったうえで、この数字です。

その原因は、実質賃金の6ヶ月連続減少、年金の引下げが実施されるなど、日本経済の6割を占める家計の消費が大元では冷え込んでいるからです。

消費税増税が実施された場合、政府は消費者物価の上昇率を3.6%と推定しており、社会保険料の負担増なども含めると5%以上の賃上げがないと、実質賃金は低下することになります。が、賃金の実態は、莫大な内部留保をためこんでいる大手企業の春闘の回答を見ても、2千円台とか一桁違う数字にとどまっています。雇用の7割を占める中小企業は、もともと赤字企業が多く、円安による原材料費の高騰が追い討ちをかけ、とても賃上げできる環境にはありません。

こんな時に3%の消費税増税で8兆円の負担を国民にかぶせればどうなるでしょうか。くらしに大打撃を与え、1997年の消費税増税の時のように、経済を壊し、財政も共倒れで破綻することは目に見えています。

その影響は、97年度を超える深刻なものとなります。97年の増税は、働くものの給与が増加する中での増税でした。97年と2012年の民間給与は、467万円から408万円と大きく低下し、その結果、家計の年間実収入は97年と2011年の比較で102万円減少しています。貯蓄無し層も大きく増え、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」では、1995年には7.9%でしたが、2011年には28.6%となっています。とても国民には大増税に耐えうる体力はありません。

消費税増税法では附則18条で、税率引き上げは、「経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し…その施行の停止を含め所要の措置を講ずる」としています。経済指標からも、今やるべきは消費税の増税ではなく中止の措置とするのが法律にのっとった判断です。とりわけ高知県の実態を直視した場合、附則18条にもとづき中止を求める意見書を可決することは、県民への責任ある態度ではないでしょうか。

 消費税は、社会保障のためでも安定財源のためでもありません。

 社会保障は、今回も年金引下げ、70-74歳の窓口負担の1割から2割への負担増、保険料負担の増加など、改悪の連続です。財政再建に逆行するのが消費税増税だったことは、事実が証明しています。96年と2013年の税収比較では、消費税収は、7.6兆円から13.3兆円の約6兆円増の一方で、所得税は19兆円から13.9兆円で約5兆円、法人税は14.5兆円から9.7兆円と約5兆円の減収となるなど租税全体では、90.3兆円から、81.3兆円と大きく減り、長期債務算高は、492兆円から940兆円と、倍近く増えました。一方、資本金10億円以上の大企業の内部留保は、97年と2012年度に142兆円から266兆円と大きく増加しています。

増税による景気悪化、非正規雇用の拡大など貧困の拡大、その一方で大企業減税が繰り返された結果です。いまこそ、税の負担は能力に応じての原則をつらぬくこと、雇用は正規が当たり前の働くルールを確立すること、溜め込んだ内部留保を賃上げと社会保険料負担で社会に還元することで、この悪循環から脱することが求められていることを、強く指摘しておきます。

 

 消費税には、私たちはそもそも反対ですが、国の決定のもとで地方自治体がその増税分を反映させることは、公共事業や委託料の契約などで避けてとおれません。総務省からはすみやかな転嫁を求めている事実もあり、自治体の姿勢、判断を超える問題です。しかし、その中でも、一般会計分の使用料については、自治体は納税義務がありません。政府が自治体に、納税義務がないのに課税事務としているのは、民間とのイコールフッティングを担保するためとしていますが、競合する民間の施設がない地方の実情や弱者向けの施設にはそぐわない理由付けではないでしょうか。使用料アップにより、利用が少なくなれば、施設本来の目的を発揮できなくなります。

本体価格を見直すことによって、実質的に値上げをしないことも選択できるわけで、高知市の中央公民館は、この方法をとっています。1つ1つの使用料の性格にそって判断することが求められていると思います。

この点で、政府は今後、引き続き10%への増税を進めようとしていますが、地方自治体の判断でできる対策として検討することが必要だと考えていることを、合わせて表明しておきます。

以上、4月からの消費税率引き上げ中止の声を、国に向かって示そうではありませんか。同僚各位のご賛同をお願いし、賛成討論といたします。