議会報告

  • 2014年01月16日
    12月議会 特定秘密保護法の撤廃を求める意見書案 提案説明 岡本和也議員(12月20日)

 12月6日、政府・与党は、参議院で、特定秘密保護法「修正案」の採決を強行しました。国民の圧倒的多数が反対する日本国憲法を蹂躙する法案を強行した暴挙に、まず強い抗議の意思を表明いたします。

 秘密保護法に対する反対の声明は、憲法学者や刑法学者、弁護士など法曹界、ジャーナリストやその労働組合、出版関係者や演劇人、映画人など、およそ国民の「知る権利」や言論・表現の自由に関わるあらゆる分野といっていいほど、広がりました。「1960年の安保改定反対闘争に匹敵する」という声さえ上がったほどです。批判は国際的にも広がっています。国会周辺での緊急抗議行動をはじめ各地の集会やデモ、宣伝活動などに多くの国民が参加しました。「秘密保護法はいらない」「強行採決は許されない」―憲法の基本原則を踏みにじる希代の悪法を、議会制民主主義を踏み破って成立させようとする安倍政権へのやむにやまれぬ怒りです。批判の声は政治的立場や政党支持の違いを超えています。

 秘密保護法「反対」は、「朝日」50%、「毎日」59%、「日経」50%―。いずれも各メディアの直近の世論調査です。世論調査での「反対」は、法案の国会審議が進み、秘密保護法の中身と問題点が国民に知られるにつれ増加しました。過半数の「反対」は、文字通りの世論です。

 政府・与党が採決を急いだのは、そうした国民の声を恐れたからなのは明らかです。それは、秘密保護法の骨格自体が、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という日本国憲法の基本原理を根底から覆す、極めて危険な違憲性を本質としているからであります。
 第一に、「特定秘密」の指定が政府に委ねられ、政府が保有する膨大な情報の中から、その恣意(しい)的判断で勝手に決められることです。国民は、何が秘密かも秘密とされる社会のなかで、自分が近づいた情報の中身もわからないまま処罰されうるのです。
 政府が、いくら「特定秘密の範囲は、別表で防衛・外交などに限定されている」と繰り返しても、秘密指定の要件が「わが国の安全保障にとって著しく支障を与えるおそれがある」という広範かつあいまいなものである以上、際限なく指定されるおそれがあることは、あまりにも明白です。
  国民の声に追い詰められ、修正協議の中で第3者的機関なるものの構想を次々と発表しましたが、いずれも行政内部の機関であり、原発を監視するはずの「保安院」が「安全神話」を振りまく先頭にたったことを見れば、法案の危険性は何も変わらないことが明らかです。
 そもそもわが国の国家秘密のほとんどは、日米安保体制の根幹に関わるものです。核密約も沖縄返還密約も隠し続け、日本共産党が米国で公表された文書そのものを国会で示して追及しても、目の前にあるものを「ない」とウソの答弁を繰り返してきたのが、歴代自民党政府です。しかも修正合意によって、秘密の指定期限は60年に延長されました。60年前の旧安保条約当時の非公開文書が「特定秘密」に指定されれば、120年以上にわたって国民に明らかにされないことになります。まさに「永久秘密」に他なりません。
 第二に、秘密保護法は、懲役10年以下の重罰と威嚇や、「適性評価」の名によるプライバシー侵害と権力の監視にさらされるのは、限られた公務員のことさらな漏えい行為だけではなく、広く国民の普通の日常とその自由であり、報道の自由だということです。

 政府・与党は「一般の国民は一切処罰の対象となりません」とか「報道機関や取材の自由は保障される」などと繰り返してきましたが、捜査機関が必要と判断するなら、逮捕勾留で身柄を拘束した密室での取り調べも、捜査差し押さえも行われうる。そのことは刑事司法を所管する大臣も総理も認めています。自白の強要や盗聴など違法捜査が横行する危険は一層強まることになります。
 しかも、その逮捕や捜索差し押さえ令状にも、起訴状や判決にも、秘密の中身は明らかにされません。これは、処罰は憲法違反ではないのかを国民が争うことを困難にする暗黒裁判にほかならない。まさに、報道機関から国会議員、広範な国民にいたるまで、捜査機関の一存で、容易に処罰することを可能とする弾圧立法そのものであります。
  秘密を取り扱うものに行う「適性評価」は、国民の機微なプライバシーを根こそぎ調べる国民監視の仕組みがつくられることになります。秘密保護法はこれまでもおこなわれてきた情報機関の不当な調査活動に法的なお墨付きを与え、公務員のみならず、国から事業を受注して特定秘密の提供を受けた民間企業やその下請け企業で働く労働者、派遣労働者、さらに、その対象者の家族・親族、友人知人と限定なく、監視の対象を広げていくものです。
 第三に、秘密保護法が、特定秘密と指定されれば、情報の国会への提供さえ政府の裁量に委ねるばかりか、「秘密会」に提供された秘密を同僚議員に話すだけで重罰にかけるなど、国会の国政調査権、議員の質問権を乱暴に侵すものです。
 

 この暴走を突破口に、憲法の明文改憲を狙い、集団的自衛権の行使容認や国防軍創設を企てようとも、強権と戦争国家への道を許さない国民の団結の前に、一層の反撃を浴びることになるでしょう。秘密保護法は強行採決されましたが、廃止をもとめる国民世論はさらにひろがりを見せています。
 かつて、軍機保護法、治安維持法の体制下、政府の「秘密」が報じられないもとで、中国への侵略戦争、アメリカやイギリスをはじめ世界を相手にしたアジア・太平洋戦争を行い、日本で310万人以上、アジアで2000万人以上もの犠牲者を出しました。ベトナム戦争、イラク戦争でもアメリカがウソとでっち挙げで参戦をしています。戦争は、真実を覆い隠すことから始まります。二度とそのあやまちを繰り返させはなりません。

 日本共産党はひろく国民各層と手を結んで、憲法を高くかかげ、米軍とともに海外で戦争する国に変えるくわだてと断固としてたたかう決意を申し述べ、提案理由とします。