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- 2014年01月16日
- 議会(質問・討論)
- 12月議会 「子どもと教育を守る県連絡会」提出の請願賛成討論 吉良富彦議員(12月20日)
私は、ただいま議案となりました請第1の1号と2号「すべての子どもに行き届いた教育を求めるための請願」、および関連する請第2の1号と2号「教育費負担の公私間格差をなくし、子どもたちに行き届いた教育を求める私学助成の請願」の2請願をあわせ、いずれも原案賛成の立場で討論を行います。
本署名は、県内の各地の県民6万7千名から県議会に寄せられた願いです。本請願署名に取り組まれた方々に代わり以下、請願を採択する意義を申し上げます。
一つには、毎年継続することでこそ教育条件の改善が果たされるという事です。
1学級定数40人とされている中でも、小学校1年生35人、小学校2年生については加配措置で、少人数学級が国の責任で実現しはじめました。そして、文科省は、中学校3年までの35人学級の計画を示し、本県は小学校3.4年生、そして中学校1年生で独自の少人数学級を実施しています。これらが全国的な流れと軌を一にしていることを見れば、この24年間、累計4億2千万筆以上を集めてきた全国的規模の本署名運動が国と各自治体の流れに果たした役割は大きいと考えます。子どもたちや教育現場の実態は毎年変化します。それに応じて請願項目は毎年見直され、学校現場と県民の願いを反映したものとなっていますが、父母負担軽減、教育条件の改善を求め、毎年継続することが大事であることを、この事は示しています。従前と違い、議会での採択が加われば更に大きな力となります。
二つ目には、本県はじめ地方自治体の独自の取り組みを支える意義を本請願は持っているという事です。
少人数学級の推進だけでなく、本県は、財政的に厳しい中にあっても、複式学級定数を見直し、小学1年生の単式化を行いその継続に努力しています。複式、とび複式の解消を、国の責任で行うよう求めることは県独自の措置を容易にし発達段階に応じた指導が行われることにより学力を保障することに直結するものです。
また、本県議会は学校の公私間格差をなくすため「私学助成の充実強化に関する意見書」をこの9月議会で全会一致で採択しました。そこでは、「私立高等学校等の経常費補助の維持・拡充」を求めています。尾崎県政になって県独自に高校においては12000円の県加算となりましたが、幼稚園・小学校・中学校への加算は残念ながらないことから改善を求めての国への意見書でした。ゆえに本請願では、「高等学校等」と明記されている「等」を、幼稚園、小学校、中学校とわかりやすく書き換えて明示しただけです。先の意見書はわが会派も含め全会一致で採択していますので、本請願にある私立学校への経常費助成、教育予算増額を国に求める事に、全ての会派の皆さんが賛同下さるものと考えるものです。
今、安倍内閣は平成26年度概算要求で、少人数学級編成推進を見送る方向を示しています。また、高校授業料無償制度が行われ始めましたが、所得制限を設ける方向での変更がなされました。
それは、昨年9月、政府が国際人権規約第13条2項bcの留保を撤回し高校・大学の無償教育を漸進的に導入することを国際的に宣言したことに反するものです。本県含め各自治体の努力や国際的な流れにも反するこのような政府の施策は、県民の願いに背き本県の今までの努力に水を差すものであることを、本県議会の名において示すことの意義は大きいといえます。
三つ目は、県民の切実な要求と課題をだれの目にも明らかにし、施策化を図る目安にできる意義を持ちます。
県独自の変換猶予型の奨学金制度も創設されました。しかし、全県一区の学区になったこともあり、通学費等の保護者負担の増加例が見られます。高知市においては就学援助の割合が「三人に一人」の状態です。様々な問題集や資料集、画用紙や工作物等の補助教材、PTA会費など、年間万単位の支払いが滞り、その対応に学校現場は苦慮しています。部活動の費用もかさみます。ユニフォーム代・道具代など数万円もの出費に加え、遠征費・ボールなど消耗品代など一ヶ月数千円の費用、また、大型バスを借りれば1回に数万円かかります。学校からは、いわゆる「総体」とよばれるような場合は費用が出されることは多いようですが、それ以外には出ず、結局保護者負担です。
この14日、あしなが育英会が、高校奨学金を貸与している3,464世帯の保護者を対象にした緊急アンケート調査結果が発表されました。
それによると、3分の2の世帯が「教育費不足」で、就職希望者のうち「経済的理由で大学などへの進学断念」は53%で、11年調査より13ポイントも急増しています。また、家計支援や弟や妹のための「進路変更」33%、「進学断念」19%で、極めて高い割合であることが判明しています。
国際的に立ち遅れている日本の教育費に対する公費支出割合の低さをこれ以上放置することは許されません。給付型の奨学金制度の創設など、小学校から大学に至るまでの保護者負担のより一層の軽減策を求める事は、「貧困の連鎖」を断ち切り、お金の心配なく安心して充実した教育を受ける権利を保障する事であり、今、待ったなしで議会としても声を上げるときです。
また、教職員の多忙化も深刻です。高知県の教諭の一月あたりの残業時間は、12年度の全日本教職員組合の調査では、86時間1分で過労死ライン80時間を上回り、病休に占める精神疾患の率も深刻です。発達障害を抱える児童・生徒数も増え、その対応に現場がついていけなくなっています。現在行われている県独自の少人数学級措置を推進するだけでなく、特別支援学校の設置基準を国に作らせることも急務です。
最後に、署名数のもつ重みです。
私たち県議会は、多くの請願を受けますが、これだけ多くの人から積み上げられた署名が他にあるでしょうか。それだけ切実であるという事です。今年度は新たに、高知県私立幼稚園連合会も署名に加わり、少子化の中、8579筆もの願いが込められています。防災文教委員会で意見陳述された中で、私立のある学校では「校長以下全教職員と各クラスのPTA役員さんが呼びかけ人となり、生徒数の10倍以上の」署名が集まったと発言されていました。決して特定の組織の署名活動ではありません。私学助成で言えば5万6千を超える数、合わせて6万7千、実に高知県民の十人に一人近くの人からの署名です。
今年の私学助成に関する国会への請願については、髙野議員、中谷議員など自民党に所属する県選出の国会議員4名も紹介議員になって後押ししてくれています。
以上、同僚各位のご賛同を心からお願いいたしまして、私の賛成討論と致します。