議会報告

  • 2014年01月16日
    12月議会 「高知港係留施設等の指定管理制」修正動議提案 中根佐知議員(12月20日)

私は、日本共産党を代表し、ただいま議案となりました議発第1号、平成25年度高知県一般会計補正予算に対する修正案について、提案理由の説明を行います。

この議案は、平成25年度高知県一般会計補正予算案の中の高知港係留施設等指定管理者管理代行料のうち、一般会計補正予算案に含まれる港湾管理費150,055千円を減額修正し提案するものです。

高知港湾施設管理は、初めて県直轄管理から6月議会で改訂された「高知県港湾施設管理条例」に基づいて指定者管理にうつされることになり、今議会に高知県港湾施設指定管理者審査委員会が審査した「指定管理者の指定に関する議案」と指定管理者管理代行料が一般会計と特別会計に提案されています。   

日本共産党はこれまでも、港湾法に基づいて「港湾管理者は、港湾を全体として開発し、保全し、これを公共の利用に供し、港湾という営造物の性質、用法に従ってこれを善良に管理する公共的責任の主体」と位置づけられ、基本は地方自治体が担うこととなっていること、公共性の高い分野において、公的役割を確保、住民サービスを安定的継続的に維持するうえで、民間手法の導入は、きわめて慎重に判断すべきであることを主張してきました。

そして、今年の6月議会では、「導入を議会に明らかにしてから、十分な議論をする時間がない提案の仕方には疑義があり、85施設もの広い範囲を対象にしている港湾等の指定管理は全国のなかでも他に例はないこと、全体の業務を民間に出せば、管理の専門性やノウハウを失い、しかも期間が限定されることで、継続的な業務や専門性の蓄積、高度化がおろそかにされる懸念があること、指定管理導入の優位性として、迅速かつ効率的に事務処理を進め、利用者サービスの向上とありますが、事務手続は今とほとんど変わらず、利用者にとっての優位性は見られないこと、また、行政コストの削減を挙げ、定期巡回パトロールを指定管理者に一本化できるとありますが、県の管理責任はなくならず、責任を果たそうとすれば、現場に出かけ、民間業者の円滑な事業を監視、評価せねばならず、コスト削減にはなりません。コスト削減を追求すれば、委託強者まかせなり、責任はとれず、しかも現場業務から離れることで、評価能力や危機対応能力が落ちるという、重大な問題点を持っています。地震への危機管理体制が問われていて、人口の集中する高知港沿岸部をいかに管理し、重大事態に備えるのかが問われているときに、全体の業務を指定管理に出せば、港管理の専門性、ノウハウを行政が失うことになり、迅速な対応を県ができるのか、として港湾の民間委託に反対した経過があります。

現実には、東日本大震災の復旧・復興の遅れの大きな要因には、住民と接し、計画を立てる行政職員、とくに技術系職員の不足があり、いくら予算をつけても執行できないという、この間の地方行革とアウトソーシング、市町村合併の推進による職員削減の深刻な影響が指摘されています。南海地震対策を県政の大きな柱としている高知県は、その教訓から学ぶ必要があります。

その上で、今回の指定管理者選定の審査の経緯を見れば、公募に応じたのは1団体高知ファズ株式会社のみでした。審査委員会の審査結果は、7つの審査項目合計3000点満点中72,7%を獲得しています。が、細かく見れば、管理運営計画の項目では64,3%、危機管理対策では69,3%の点数を獲得。審査委員6人それぞれの合計評価で見れば、62,4%、65,2%と60%台が二人、70%台が3人、83,2%が一人で、評価に20%もの開きが現れています。県の審査合格基準の60%を上回っているものの、日常の港管理だけでなく、巨大地震への迅速な対応も求められる位置に、これらの評価で指定管理者指定をすることには、大きな不安が残ります。そもそも一社しか応募がないような状況は、競争によって、民間の力を生かし、よりよいサービスが実現できるとした「公務の市場化」「構造改革」路線の前提が、高知県のような地方では、すでに破たんしていることを示しています。

重要な港湾施設に公的な関与の後退につながりかねない指定管理者制度の導入はすべきではありません。この際、無理な選定をおこなわず、状況が整うまでは、県がこれまでの形態を踏襲することが最善だと考えます。 

 以上の理由から、高知港係留施設等指定管理者管理代行料にかかわる予算を減額修正することを提案いたします。同僚議員のご賛同をよろしくお願いいたします。