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- 2013年11月25日
- 議会(質問・討論)
- 9月議会(10/15)「大規模地震等災害対策の促進を求める意見書」反対討論(中根佐知議員)
私は日本共産党を代表して、議発第8号「大規模地震等災害対策の促進を求める意見書議案」に反対の立場で討論を行います。
高知県でも南海トラフ地震対策行動計画を実行し、耐震化や災害から命をまもる事が喫緊の課題であり、急ぎ進めていかなければならないことは、誰もが一致するところです。また、老朽化した橋梁やダムなどの防災・減災対策の加速化、維持管理経費等にも多額の予算が今後も必要となっています。国に向かって地震などの災害対策促進を求めることは、重要なことだと認識しています。
しかし、本意見書は、地震等災害対策の具体化を、自民党が政権公約に掲げていた「国土強靱化」政策の具体化に求めています。10年間で200兆円を投資するとする国土強靭化政策は、今年5月、防災・減災を特にかかげて「防災・減災等に資する国土強靭化基本法案」として自民・公明両党が国会に提出し、衆議院で継続審議となっています。
日本共産党は、この法案に大きな問題があると考え、これまでも反対の態度を表明してきました。
この法案が規定する「国土強靱化」の目的には、大規模災害に備えた事前防災や減災・迅速な復旧復興のための強靭な国土づくりとともに、国際競争力の向上に資する強靭な国土づくりが掲げられています。この、国際競争力の向上に資する事業とは、新幹線、港湾、空港、高速道路など巨大開発事業につけられる修飾語で、かつて公共事業として大きな批判の的となった全国総合開発計画を思い起こさせる文言がちりばめられています。防災・減災等に資すると明記したにもかかわらず、防災・減災対策を全面にした法案になっていないことが、最大の問題です。
基本方針には「国家及び社会の重要な機能の代替性の確保」と規定されていますが、「代替性」との理由付けは、外環道や圏央道、新名神など大都市圏環状道路など、建設事業の口実とされてきたものです。9兆円の事業費がかかるリニア中央新幹線建設も認めています。
さらに問題なのは、社会インフラ老朽化の危険から国民のいのち・安全を守ることが、国土強靭化の目的にはなっていないことです。他の国土計画関係法と同じ様な、環境保全や自然再生の視点や住民参加の仕組みもありません。結局、防災・老朽化対策の重視とは名ばかりで、大規模災害を口実に、新規の大型開発事業を見直すどころか、継続・拡大させる根拠にされるものにならざるをえません。
これら新規の建設事業費は、13年度以降、国際コンテナ戦略港湾、ダムの建設や整備新幹線、リニア新幹線建設費など約50兆円もの規模になります。人口減少や危機的な財政状況、大規模災害、社会資本老朽化が進行する時代に、こうした大型開発事業のために、公共事業予算を増額すべきではありません。新規・新設の大型開発事業を中止・抑制し、防災・老朽化対策など維持管理・更新事業へ予算の使い道を切り替えれば、大幅に予算を増やす必要はありません。
日本共産党は「公共事業=悪」という立場はとっていません。公共事業政策で大事なのは、国民のいのち・安全、暮らしに必要な事業は何か、何を優先すべきかを見定めることです。いま最優先しなければいけないのは、耐震化対策や老朽化対策など既存社会資本の維持管理・更新です。
中央自動車道笹子トンネル崩落事故をはじめ、1960年代に建設された首都高速や東海道新幹線などの老朽化が進行し、その対策が喫緊の課題になっています。道路橋や学校施設など、公共施設の老朽化対策も遅れている状況です。
社会的資本の維持管理・更新費は、今後50年間を見ても、数百兆円は必要になってきます。耐用年数が迫ったコンクリート構造物などが急増し、施設の維持・更新費用がかさむからです。国交省所管の施設の更新費だけでも190兆円、維持管理費を含めると360兆円にのぼると試算され、他に水道施設は今後40年間におよそ39兆円、公立小中学校は、今後30年間に約30兆円~38兆円の更新費がかかると試算されています。こうした維持・更新費用を低減する長寿命化対策など急ぐ必要がありますが、それでも膨大な額にのぼることは避けられません。
防災や減災に向けたインフラ整備は必要です。それは、より生活に身近なところから整備をすすめるべきで、巨額の費用を投じて、国際コンテナ戦略港湾などを優先する必要はありません。公共事業政策は、根本的転換を図る必要があるのです。
以上、国土強靱化基本法案の持つ問題点を指摘し、国会で継続審査中の法案を軸に要望を重ねる本意見書に賛同することはできないことを表明して、反対討論といたします。