議会報告

10月1日本会議で一般質問を行う中根佐知議員

10月1日本会議で一般質問を行う中根佐知議員

 日本共産党を代表し、質問をいたします。

【まず、消費税増税】についてです。

 来年4月からの消費税増税について、どの世論調査でも予定どおり実施する声は少数です。「アベノミクス」で、大企業のもうけや大資産家のふところは改善しても、勤労者を中心に国民の所得は増えていません。勤労者の所定内賃金は14ヶ月連続で低下しています。また、「アベノミクス」は金融を活発にすることで消費者物価の「2%上昇」を目標としていますが、実際に起きているのは、収入が増えないのに円安などで石油製品の価格や生活必需品の値上げが相次ぐ、悪い物価上昇です。こうしたなかで消費税を増税し、国民から購買力を奪えば、経済も暮らしも致命的な打撃を受けるのは目に見えます。

 97年の消費税増税は、勤労者の所得が増え続ける中で実施されましたが、それでも暮らしと経済を直撃し、消費税収は増えましたが、租税総収入は97年の91.7兆円をピークに、98年以降、87.1兆円、84.2兆円、88.3兆円、85.5兆円、79.2兆円と年々低下しをつづけました。「大不況」で税収が落ち込んだことに加え、「景気対策」として法人税・所得税を減税したためです。歳出でも、「景気対策」の名で大型開発のバラマキが行われました。これらの歳入減と歳出増によって、国と地方の長期債務残高は、増税後3年間で449兆円から600兆円へと拡大し、財政危機悪化を加速する結果となりました。今回も同様の大型の経済対策が検討されていますが、過去の失政の二の舞いになることは必至です。

 来年4月からの消費税増税中止の一点で共同しましょうと県内の経済団体を伺っていますが、「アベノミクスで利益があがっているのは大企業だけ」「収益はあがっていない、きびしいという声が多数だ」「商店街がつぶれてしまう」など懸念の声が圧倒的です。2日に開催された自民党全国幹事長会議で、高知県連は「経済政策の効果が地方には広がっていない」と4月実施の「再考」を要望したと報道されています。

◆高知県民の暮らしと経済にとって、消費税増税の環境はまったくないのではないか。知事は、県民の代表として、政府に4月の消費税増税の中止を強く求めるべきと思うがお聞きします。

 

■県知事

 中根議員のご質問にお答えいたします。

 まず、県民の代表として、政府に4月の消費税増税の中止を強く求めるべきでないか、とのお尋ねがございました。

 私自身、着実に進行する少子高齢化などの社会情勢の変化に対して、しっかりと財源に裏打ちされた持続可能な社会保障制度を確立するためにも、また、仮に増税しなかった場合に想定されます市場の混乱や国債の格下げなどの金融リスクを考慮しましても、消費税につきましては、来年の4月から8%に引き上げる必要があると考えております。

 県民の皆様の暮らしや県経済の状況などを考えますときびしい選択ではございますが、全国に先行して少子高齢化が進んでいる本県にとりましても、しっかりした社会保障制度改革が確立されるという点で、また、若い世代の暮らしを守るという点でも、飲まざるを得ない苦い薬だと思っております。

 他方、そうでがあるが故に、本日政府が取りまとめようとしております経済対策には、消費増税による痛みの部分を一時的に緩和するための低所得者向けの現金給付や、住宅購入者への給付金制度の創設に加えて、企業利益の拡大を図りながら賃金の引き上げ、雇用の拡大につなげていくための減税措置の拡充など盛り込まれる予定でございます。

 国におきましては、十分な規模感をもった経済対策をしっかり実行していただき、低所得者対策はしっかりと実行していただき、低所得者対策はもちろん、雇用と所得の拡大を持続的なものとする経済成長に向けた取り組みを着実に進めていただくことが重要だと考えております。

 

【次に集団的自衛権】について知事に伺います。

安倍政権が国民の批判を無視して、「集団的自衛権」の行使に向けた動きを加速しています。内閣の憲法解釈を担当する内閣法制局の長官を行使容認派に交代させたのに続き、行使を検討してきた有識者懇談会でも議論を本格化させる構えです。秋の臨時国会で行使に向け、政府の憲法解釈変更を宣言するとも伝えられます。

 集団的自衛権とは、日本が直接攻撃されたわけでもないのに、アメリカなど日本と密接な関係にある国が攻撃されることを理由に、日本が武力を行使するもので、これまで歴代の政権が「憲法上、行使は認められない」としてきたものです。こうした判断は、内閣法制局の長官だけでなく首相や閣僚なども国会で繰り返し答弁し、閣議で決定した答弁書などでも確定した政府全体の見解です。

憲法研究者の小沢隆一さんは「解釈改憲は裏口入学のようなもの。そのうえ安全保障基本法をつくって集団的自衛権を行使できるようにしようというのは、いわば立法クーデターです」と指摘します。 自民党の古賀誠元幹事長と山崎拓元副総裁は、西日本新聞(8月11日付)の対談で、参議院選挙結果を受けて、「暴走が一番怖い」(古賀氏)、「政権が暴走しないよう党内の『チェック・アンド・バランス』を働かせないといけない」(山崎氏)と語り、内閣法制局長の人事について、「法治国家としてどうかな、と思う」(山崎)、「私たちのような戦争の怖さを知っている人間からすれば、あの人事には驚かされた。」(古賀)と批判をしています。どの世論調査でも、集団的自衛権の行使に賛成する声は少数です。

◆本来、憲法改正手続きをふみ国民投票の結果で判断すべきものを、政府の解釈で変更することはまさに「立法クーデター」といえるもので、決してゆるされない、と思いますがいかがですか。

 

憲法9条の歯止めがあるため、これまでの海外派兵法では、自衛隊は「武力行使はしない」「戦闘地域に行かない」と必ず書き、復興や民生支援に限定して活動してきました。集団的自衛権の容認は、この歯止めを無くします。その愚かさはイラク戦争を例にとれば明らかです。ウソで始めた戦争を米軍とともにたたかい、日本の若者を殺し殺されるという最悪の事態に突き進むことを意味します。実際、集団的自衛権の名でおこなわれた戦争は、アメリカのベトナム戦争、旧ソ連のアフガン侵略やチェコスロバキア侵略など大国による侵略戦争であり、自衛とはまったく無関係です。

安倍首相は、公海上の米艦防護という問題や米本土へのミサイル防衛などの事例を持ち出して、集団的自衛権の必要性を語っていますが、自衛隊のイラク派兵を官邸で統括し、第1次安倍政権時の安保法制懇で事務局を担当した安全保障担当の内閣官房副長官補だった柳沢協二氏は、こうした例は非現実的であり、妥当性に欠けたもので、集団的自衛権の行使に反対したことを著書に書いており、米艦防護の例や領土問題などは個別的自衛権の範囲だと指摘しています。

7月11日、米海軍制服組トップのグリナート作戦部長はワシントンでの講演で、「日本で集団的自衛権が認められれば、海上自衛隊は(米空母や強襲揚陸艦を中心にした)打撃群に加わって共同作戦が可能になる」と発言したことが報道されていますが、ここに本音があることは明確です。

◆集団的自衛権は、自衛とは無縁な戦争国家への道であり、断じてゆるされないと思いますが、お聞きします。

 

■県知事

 次に、政府が憲法第9条の解釈の変更をおこなおうとしていることについて、そして、集団的自衛権の行使について、お尋ねがございました。

 関連しますので、併せてお答えします。

 午前中に浜田議員にお答えしましたとおり、私は、集団的自衛権行使を一定認めるべきだと思っていますが、他方で、これを口実に防衛目的を逸脱するようなことが決してあってはならないし、そのことを担保する法的枠組みも必要であると思っています。

 私は、この集団的自衛権の行使について、どのような場合に行使を認め、どのような場合に認めないのかという点の議論を徹底して深めていく必要があると考えており、是非、国民的議論を行って行くべきだと考えております。

 そうした議論を経て、認めるべきとされる集団的自衛権の内容が現行憲法で認められないと言うこととなるのであれば、やはり、その点そのものに関し憲法改正をめざして、改めて国民的議論に付すべきだと思います。

 

何より終戦記念日の靖国神社参拝など、過去の侵略戦争を反省しない日本が「集団的自衛権」行使を容認すれば、アジアと世界の反発は必至です。さきほどの柳沢協二氏は、「安倍政権の安保政策『最大の弱点』は安倍氏自身」と指摘し、「日本が現代史において戦争を主導した事実を踏まえ、その自己否定の上になりたつ憲法と、そうした歴史観を再度否定して戦争を主導した日本を自己肯定する改憲思想との、いずれが今日の世界において通用するのか」、その深い自覚と知的葛藤が必要であり、「憲法を『戦後レジーム』として否定し、戦争への『反省』を『自虐史観』として排斥する安倍氏の国家像(自己認知)は、対立を先鋭化する」と警告を発しています。

知事は、「憲法第9条」については「これまでの平和の維持や発展に大きく貢献してきたと認識しております。これをしっかり守ることが必要であると考えております」と答弁しています。

◆憲法第九条にそった平和外交と武力によらない平和な国際貢献こそが大切と思いますが、お聞きします。

 

■県知事

 次に、憲法第9条に沿った平和外交と武力によらない平和な国際貢献についてお尋ねがございました。

 わが国においては、日本国憲法のもとで、政治・安全保障、経済、文化・人的交流などあらゆる面で複層的な外交努力と国際貢献がおこなわれてきたことで、戦後68年にわたって、ひたすらに平和国家としての道を歩んできたものと認識しており、これは今後も歩むべき道と考えております。

 他方で、安全保障上の脅威が多様化するなかで、いずれの国も一国では自らの平和と安全を維持できず、同盟国等との連携、国連の集団安全保障の枠組みの重要性が増大しているのも事実であり、総合的かつ戦略的な対応も必要であると考えております。

 

  【次に、日米共同統合防災訓練について知事に伺います】。

9月6日、防衛省は、日米共同訓練および日米共同統合防災訓練(MV-22 オスプレイの沖縄以外の場所での訓練)について記者発表を行いました。10月上旬から中旬にかけ滋賀県において日米共同の軍事訓練に引き続き、10月25~27日にかけて高知県で南海トラフ巨大地震を想定した防災訓練を実施し、それぞれにMV-22オスプレイを参加させるとしています。

 その理由として防衛省は、「沖縄の負担を本土にも分散させる観点からも、昨年9月の日米合同委員会合意に基づき、訓練の内容、実際に訓練を実施する場所、米軍の運用上の要件など、様々な角度から幅広く、日本国内の沖縄以外の場所で飛行訓練を行う可能性を検討してきた。」と明確に示されているとおり、今回の防災訓練は、防災に名を借りた、オスプレイの飛行訓練に他なりません。この訓練はもともと沖縄で行われる予定ではなかったもので、沖縄の地元紙は「負担軽減ならない、オスプレイの配備そのものの見直しこそが不可欠」と批判しています。訓練の全国展開は、オスプレイの沖縄配備を固定化・恒久化させる危険をもつものです

◆知事は、この説明をどのように受け止めたかまずお伺いします。

 

■県知事

 次に、防衛省が本県で日米共同統合防災訓練を行う事を発表したことについて、どのように受け止めたかとのお尋ねがございました。

 今回の本県での防災訓練は、自衛隊が東日本大震災を踏まえ、南海トラフ地震を想定した対処計画を実働訓練で確認するものであり、その一部として米軍との共同訓練をおこなうものと聞いております。

 東日本大震災では、救助・救出から物資搬送などの生活支援まで、警察、消防、自衛隊、海上保安庁等の応急救助機関が大いに力を発揮されましたが、南海トラフ地震での被害規模は、この東日本大震災を遙かに上回ることが想定をされています。

 このことから、国内の救急救助機関のみでは救助・救出にあたる人員、能力が不足すると予想され、トモダチ作戦に見られたように米軍からの支援は不可欠であると考えております。不可欠なのであれば、予め訓練を重ねておく必要であり、こうしたことから、今回の防災訓練は有意義であると考えております。

 オスプレイにつきましては、航続距離やスピードなど輸送能力の高さから、今後、米海兵隊の人員・物資輸送の中心となる装備であり、実際の災害時にも使用されることになると思われます。そうであれば、そのための訓練も必要であると考えますが、他方で県民の安全への懸念が払拭されたとは言えない状況にあります。このため、訓練を実施する際には、安全確保に万全を期していただくよう引き続きしっかり要請をしてまいります。

 

  今回の日米共同統合防災訓練を機に、米軍が日常的に自衛隊基地を使用できるよう、日米地位協定第2条4項Bに規定される共同使用の手続きが行われ、実質的に米軍基地化される危険性があります。日米地位協定に基づく措置であっても、当然自治体として重要な判断が求められるものですから、県民に説明もなく手続きが行われることがあってはなりません。

◆地位協定2条4項Bに基づく手続きについて県への打診はあるのか伺います。

 

■県知事

 次に、今回の日米共同統合防災訓練を行うにあたり、日米地位協定の第2条第4項のbに基づく自衛隊基地の共同使用の手続きについて県への打診はあるのかとのお尋ねがございました。

 日米地位協定の第2条第4項bは、国等の管理のもとにある施設および区域を、米軍からの要請に基づいて、一時的に使用させるための規定と認識しております。

 今回の本県での防災訓練は、わが国の自衛隊が行う防災訓練に米軍が共同で参加する形であり、これまでの米軍の参加した国内の防災訓練と同様、この手続きは行わないとのことです。

 

実質米軍基地化することは、県民生活に不安と危険を増大させるもので断じて認められないと思います。知事は22年6月議会で私の行った「米軍の訓練移転や自衛隊施設の共同使用について拒否し、県民の不安を解消すべきではないか」との質問に対し、「訓練などの受け入れは、本県が今後発展していくための財産となる自然や観光資源等の価値が大幅に低減することも考えられ、県民生活にこの点からも大きな影響があると考えております。このような県民生活へのさまざまな危険性や悪影響を伴う訓練などの受け入れにつきましては、県民の皆様の御理解を得ることは極めて難しく、県としましてもこうした負担を受け入れることはできないと考えているところでございます。」と答弁されています。

◆その立場を今後も堅持するべきですが知事のご所見を伺います。

 

■県知事

 次に平成22年6月議会での答弁について、お尋ねがございました。

 今回の防災訓練と嶺北地域でおこわれている低空飛行訓練などの軍事訓練では、その目的と内容が明らかに異なっており、今回の防災訓練は一線を画して考えるべきだと思っております。

 また、午前中の浜田先生への質問にもお答えしましたように、沖縄の負担軽減については、まずは、海兵隊のグアム及び日本国外への移転と嘉手納基地以南の米軍施設の返還など、日米で合意した一連の再編プロセスに取り組むことが本筋だと思っております。その実現に努力する一方で、なお、軍事訓練の国内移転などが必要となる場合には、安全確保が確実に図られることが条件でありますが、特定の地域が加重負担にならないかたちで沖縄以外の都道府県があまねく広く分担することも考えなければなりません。

 他方、軍事訓練に関しては、オレンジルートなどでの訓練が行われており、本県では既に多くの負担を指定いることも事実であります。これ以上の負担を受け入れる考えはありません。

 

  去る9月19日に県と室戸市、土佐清水市、香南市が、オスプレイの安全な使用についての質問書を防衛省に提出をしています。しかし、オスプレイは、ご承知の通り、開発段階から事故を繰り返しており、沖縄県では、県あげてオスプレイ配備に反対し、本県でも県内11市の市長で構成する市長会議がオスプレイの国内配備・運用の中止と低空訓練廃止を国に強く求める要望を決定(2012年10月9日)、20議会で同様の意見書決議があがるなど、安全性に対し強い懸念がしめされています。

昨年4月にモロッコ、6月には米フロリダ州で墜落事故を起こし計9人が死傷しています。事故原因を「人為的ミス」とする米軍の報告を受け、政府は「安全宣言」を出しましたが、今年に入っても2度の「ランクA」の重大事故を起こしています。6月ノースカロライナ州で発生した事故は、エンジン排気熱で草が燃え、機体の一部が焦げた、と発表されていましたが、実際は、「ランクA」の重大事故で損害額は62億円と機体価格を上回ることが判明しました。8月ネバタ州の事故は、事実上で「墜落」であり、「事故機は修復できないほど破損した」と発表されています。しかも、事故機の損傷の具合や事故原因は明らかになっていません。

  ハワイでは下降気流が地面を削り、自然環境に影響があるとの理由から、また米ニューメキシコ州では住民が安全性に不安を示したことから訓練を中止しています。

  ◆アメリカ本国で留意されることが、日本では無視されている状況をどのように受け止めておられるか伺います。

 

■県知事

 次に米本国で留意されていることが日本では無視されている状況をどのように受け止めているかのお尋ねがございました。

 ご指摘のあった米国での2つの事例は、それぞれ個別の理由により訓練が中止されたものだと思いますが、米国においても、オスプレイの訓練は現在も行われており、このことをもって、日本が無視されているとは必ずしも言えないのではないかと思います。

 

  そもそもオスプレイは、強い下降気流、高温の排気によるガレキの飛散、炎上の危険があり、輸送能力では大型ヘリの半分以下しかなく災害救援には向かないものです。海上自衛隊は90年代、海上救難機として導入を検討しましたが、下に吹きつける気流がすさまじく、救援を待つ人が窒息してしまうとわかり、早々に断念しました。命を守ることを最優先にすべき防災訓練に危険性を増大させるオスプレイの使用は断じて認めるべきではありません。

  そもそも、米軍による防災訓練は県の防災計画にもないもので、今回の訓練計画も本県のへの詳細な説明もなく、しかも、県民あげてその成功のため力を集中させている「ねんりんピック」の開催期間と重なっています。豊かな自然とおもてなしの心で高知県の魅力を満喫していただこうとしている取り組みに、暗い影を落とすものとなります。本当に、県民の命と財産を守るための訓練なら、このような県民無視の対応にはならないと考えます。住民を危険にさらす低空飛行訓練を中止しないのが何より証拠です。沖縄では、この9月も協定を逸脱する夜間飛行が連続的に実施されており、安全合意もまったく無視されています。

 ◆ 安全性に強い懸念のあるオスプレイの本県での運用については、県民の納得を得られる回答がなければ訓練の中止を求めるおつもりですか。

◆訓練予定地に該当する土佐清水市議会において、使用の中止を求める意見書がこの9月議会で採択されました。県としてもこの声を受け止め、防衛省に使用中止を強く求めるべきです。どのように対応されるか知事にお伺いします。

 

■県知事

次に防衛省から県民の納得の得られる回答が無い場合に訓練の中止を求めるつもりはあるかとのお尋ねがありました。また、土佐清水市議会において、中止を求める意見書が9月議会で採択されたが、県としてこれを受け止め、防衛省に使用中止を強く求めるべきでないかとのお尋ねがございました。関連しますので併せてお答えします。

本日の防衛省からの要請書に対する回答は、日米合意を踏まえた安全配慮の姿勢が見て取れるものであると考えております。

 ただし、今後、訓練全体の詳細な説明があると聞いておりますので、安全の確保が具体的になされているのかしっかりと見極めていく必要があると考えており、本日の防衛省との会談においても引き続き、安全の確保を最優先とするようもうしいれたところであります。

また、連名にて要請書を提出しました室戸市、土佐清水市、香南市へも防衛省から説明を行うと聞いておりますので、それぞれの市におかれましても内容の検討を行われるものと思いますが、要望等がある場合には、防衛省において丁寧にたいおうすべきだと考えています。

 

 

次に【原発再稼働についてうかがいます。】 

福島原発では汚染水があふれ出し、とうとう国費による対策が必要となり、東電存続を前提とし、税金を一円も投入しないとした賠償スキームが破綻しことが明確になりました。汚染水対策の除染、賠償のおくれも、東電が債務超過におちいらない程度にしか実施しないという現在のスキームによるものであり、抜本的な見直しが必要です。日本共産党は、17日、汚染水対策での緊急提言を発表しました。その柱は、東電を破綻処理し一時的に国有化した上で、国が全面的責任を負うこと、原発再稼働、輸出の活動を停止し、汚染水問題に人的・物的資源を集中させることなどです。

◆再稼働議論の前に、原子力損害賠償法を抜本的に見直し、国が事故、除染、賠償に全面的に責任を追うスキームへの転換が必要ではないか。知事にお聞きします。

 

■県知事

 次に、原発再稼働についての一連のご質問にお答えいたします。

 まず、再稼働議論の前に、原子力損害賠償法を抜本的に見直し、国が事故、除染、賠償に全面的に責任を負うスキームへの転換が必要ではないかとのお尋ねがありました。

 福島原発の事故をみても分かりますように、ひとたび事故が発生しますと、大変な事態になります。被災地では、今もなお多くの被災者がふるさとを追われて働くこともままならない厳しい生活を強いられており、こうした現実に胸の痛む思いがしてなりません。

 事態の深刻さをみますと、事故処理から賠償に関して、一民間企業がその責任を負いきれるものではありませんので、当然のことながら国の踏み込んだ関与が不可欠であろうと考えております。

 現在の仕組みにおいても、当事者である発電事業者の負担を基本としつつも、国の支援を担保するために新たな法制度の整備や、除染など国による直接的な活動等も行われているところであり、不足する部分は逐次措置されていく方針であると認識しています。

 このように、事故が起きますと長期にわたり多くの関係者が大変厳しい思いをすることになりますので、かねてより申し上げておりますように、原子力発電所の稼働を考えるに当たっては、慎重のうえにも慎重を期し、厳格な」安全確保に努める必要があるとかんがえております。

 

9月から電力料金が上がり、所得が増えない中で、くらしと経営に少なくない影響を与えています。6月発表の四国電力の2012年度有価証券報告書によると、原発にかかわる電気事業費用は574億円もかかっています。昨年1月12日に全原発が停止し、12年度の発電実績はゼロにもかかわらず、巨額の費用がかかっています。単独決算の純損失は462億円で、原発ゼロなら黒字だったということが明かになりました。ところが四国電力の値上げのお願い文書には、まったくそのことが触れられていません。

◆その事実をきちんと伝えるべきと思うが、林業振興環境部長にお聞きします。

伊方1号機、2号機は、計画としても当面動きません。

◆今後も発電に寄与しない固定費がいくらかかるのか、明かにすべきと思いますが部長にお聞きします。

 

■林業振興・環境部長

 原発再稼働の問題に関連し、四国電力の2012年度決算では、原発の固定費を除くと黒字だったことが明らかとなっているが、値上げのお願い文書には全く触れられておらず、事実をきちんと伝えるべきでないか。

 また、今後も発電に寄与しない固定費ついて明らかにすべきではないかとのお尋ねがありました。関連しますの、併せてお答えします。

 まず四国電力は料金値上げのお願い文書で原発ゼロを仮定したときの説明を加えるべきではないかとのご指摘についてでございますが、四国電力における今回の電力料金の値上げは、国で定めた手続きに従い、原発関連の費用も含め、料金に反映されるコスト等が様々な観点からチェックされた上で認可されております。原発ゼロを仮定することは、そうした料金改定のルールや経緯とあまり関係がないため、値上げのお願い文書で触れていないものと受け止めております。

 また、今後も発電に寄与しない固定費についてのお尋ねにつきましては、原発の廃炉を決めていない以上、現在発電に寄与しない費用も少なくとも現時点におきましては今後も発言に寄与しない固定費との位置づけにはなっていないものと認識しております。

 

 

8月中旬、脱原発のドイツと原発推進のフィンランドを視察した小泉純一郎元首相は、「10万年だよ。300年後に考える(見直す)っていうんだけど、みんな死んでるよ。日本の場合、そもそも捨て場所がない。原発ゼロしかないよ」「今ゼロという方針を打ち出さないと将来ゼロにするのは難しいんだよ。総理が決断すりゃできる。」「必要は発明の母って言うだろ? 敗戦、石油ショック、東日本大震災。ピンチはチャンス。自然を資源にする循環型社会を、日本がつくりゃいい」と毎日新聞の中で語っています。

◆今後もこの膨大な固定費、3年間で900億円を超える新規制基準対応や原発関係の投資が続きます。一刻も早く廃炉にすすみ、四国を自然エネルギーと省エネルギーの先進地とするビジネスモデルが求められています。県として強く求めるべきと思うが知事にお聞きします。

 

■県知事

 次に、一刻も早く廃炉に進み、四国を自然エネルギーと省エネルギーの先進地とするビジネスモデルを、県として強く求めるべきではないかとのお尋ねがありました。

 私としてしましては、以前から申し上げておりますとおり、福島第1原発事故による直接的被害の大きさやその影響が多岐に及んでいることを考えますと、わが国の電力供給における原発の依存度を徐々徐々に下げていくことが必要であり、再生可能エネルギーなどに重点的に投資し、導入拡大を進めていくとの方針を堅持する必要があると考えております。

 ただ他方で、原子力発電所を直ちに全部廃止してしまうことは、現実的に利用可能な料金による電力供給が困難となる恐れがあることなどから、現実的でないとも考えております。

 四国電力においては、四国で初めてメガソーラー発電所を建設するほか、昨年7月に固定価格買取制度が施行されたことを受けて、風力発電の系統連系受け入れ枠をそれまでの45万キロワットから60万キロワットに拡大するなど、再生可能エネルギーの導入に向けて前向きに取り組んでおり、今後もこうした取り組みを積極的に進めていただきたいと考えております。

 一方で、廃炉に関しては、廃炉を決定した時点で莫大な損金が発生し、経営を大きく圧迫する要因になりますし、適正に廃炉を行うためには必要な費用に対し、そのために積み立てている原子力発電施設解体引当金では不足することになりますので、負担がさらに増大します。

 そうなれば、結果的に更なる電力料金の値上げといった形で需要家に負担が転嫁されることになりかねませんし、場合によっては、国民全体で負担しなくてはならなくなる可能性もあります。このため、四国電力として、現時点においては、廃炉について軽々に判断することはできないのではないかと考えているところでございます。

 

 さて再稼働の前提となる原発の深層防護について知事にお聞きします。

◆まず、6月議会で、「巨大地震の影響について県として専門家の意見を聞くこと」と答弁されましたが、どう実施し、その結果はどうであったか、まず伺います。

 

■県知事

次に、6月議会で「巨大地震の影響について県として専門家の意見を聞く」と答弁したが、どう実施し、その結果はどうであったかとのお尋ねがありました。

南海トラフ巨大地震については、多くの県民の皆様が不安を感じているところであり、伊方原発に与える影響について検証し、確認することは必要不可欠であると考えております。

これまでの四国電力との勉強会において、南海トラフの巨大地震による伊方原発への影響については、新想定後のデータに基づき、精徵な検証を行った結果、133ガルと基準地振動を下回る結果であったと報告を受けています。

これを受けまして、その内容について、地震に関する専門家である高知大学の岡村教授を訪問しご意見を伺っております。

その結果、南海トラフの巨大地震については、震源から距離があり、現在の想定で十分であるとの見解をいただきました。

一方、・伊方原発の敷地前面海域の断層群については、より広い範囲の連動も想定した対応が必要ではないか。・震源を特定しない地震については、より激しい揺れを想定すべきではないか。・敷地前の活断層が動いた場合のS波とP波の敷地への到達時間を考えると、制御棒作動が間に合わないのでないか。といったご指摘をいただいたところです。

これらのご指摘も含め、地震に対する安全性の確保については、四国電力との勉強会においてしっかりと認識してまいりたいと考えているところでございます。

 

知事は昨年9月議会で「深層防護は非常に大事」「IAEAが示す国際基準にも適合した世界最高水準の安全基準を策定し、その基準に照らした上で、厳格に審査していただきたい」と答弁しています。ところが新規制基準は、深層防護として根本的な欠陥があります。新規制基準には、これまで原発の審査に用いられた安全設計指針、安全評価指針、線量目標値指針などの中で「立地審査指針」だけが外されました。「立地審査指針」とは、重大事故の場合にも周辺住民に放射線障害を与えないため、十分な距離をとることを求めているものです。従来は、「格納容器はこわれない」という偽りの前提によって、影響は原発の敷地内に収まるとして無視されてきました。

 立地審査指針で定めている放射線量基準は、以前は250ミリシーベルト、その後は、ICRPなどの勧告もうけ100ミリシーベルトとなっています。ところが福島原発事故では、一番影響の強かった3月分をのぞいた4月からの1年間の敷地境界における累積線量は、一番高いものは956ミリシーベルトと基準の10倍を計測しました。昨年6月5日の国会で日本共産党の吉井秀勝議員の追求に、田中規制委員長は、「立地審査指針にもとつけば、全ての既存原発が不適格になる」と認めていました。原発が存続できなくなるので廃止された疑いがあると、元原子力安全委員会事務局技術参与の滝谷紘一氏も指摘をしています。

新規制基準は、フィルター付きベントを設置することによる性能目標に変更させられました。田中規制委員長は「最悪の場合も、セシウム137を100テラベクトル以上放出しない。100ミリシーベルトよりずっと低くなる」と述べていますが、これはセシウムだけを対象にしたもので、フィルターを素通りするキセノンなど希ガスを無視したものです。実際の全身被曝量はどうなるか、滝谷氏は、原発設置許可申請書をもとに試算していますが、浜岡5号機 約3万7千ミリシーベルと、柏崎刈羽6号機 約2300ミリシーベルとなっています。フィルター付ベントで住民を被曝から守ることはできません。

9月25日、泉田新潟県知事と会談した東京電力の広瀬社長は、敷地境界の全身線量が、フィルター付きベントを実施した場合でも数百ミリになるとの試算を明らかにしています。大量の被爆を前提とした基準に改悪されたのです。

新規制基準は、原子炉の位置の適合性を評価しておらず、「『位置、構造及び設備』が原子炉災害の防止上支障がないということ」を規定している原子炉等規正法にも反します。

◆過酷事故時に、フィルターを素通りするキセノンなど希ガスもふくめた被曝の影響についてどう認識しているのか、お聞きします。

 

■県知事

 次に、過酷事故時に、フィルターを素通りするキセノンなど希ガスも含めた被曝の影響について、どう認識しているのかとのお尋ねがありました。

 国の原子力災害対策指針いわゆる防災指針におきまして、原子炉施設等における事故時に、周辺環境に異常に放出され、広域に影響を与える可能性の高い放射性物質として、キセノン等の希ガスも位置づけられております。

 防災指針では、原子力施設において、希ガス放出が起こるような異常事態の発生又はその恐れがある場合には、国は、地方公共団体の協力を得て緊急時モニタリングセンターを立ち上げ、センターの指揮の下、緊急時モニタリングするとともに、住民等に対して気密性の高い場所への移動や放射線の遮へい効果が高い場所への退避などを指示するなどの必要な対策をとるようになっています。

 併せて、緊急時の対応が、迅速かつ的確に実施できるように、国、地方公共団体、原子力事業者は、それぞれの行動計画を策定して関係者に周知するように定められているところでございます。この定めに沿って、対応を進めていく必要があろうかと考えております。

 

 

 国際基準である深層防護の第五層「原子力防災」については、規制基準にいれず、防災計画は自治体まかせです。「立地審査指針」を事実上無視してきたため、日本では原発の近くに多くの住民が住んでしまっています。重大事故時に、風向きに応じて迅速に実際に避難できるのかを基準とすれば、安全の確保はできません。知事会が、避難道などの対策費を国に要望しています。要求先は電力会社にすべきではないかと思いますが、いずれにしても、避難対策が完成していない証拠です。

◆実行ある避難対策が完成していないのに再稼働などあり得ないと思いますが、お聞きします。

 

■県知事

 次に、実効ある避難対策が完成していないのに、再稼働などあり得ないのではないかとのお尋ねがありました。

 原発の再稼働にあたっては、施設の安全性の確保とともに避難対策は、車の両輪のごとく重要な要素であると考えます。

 政府においては、原子力発電所の所在する地域ごとにワーキングチームを設置し、関係自治体の地域防災計画及び避難計画の充実化を支援する方針を示しています。

 なお、伊方原発につきましては、30キロ県内の市町村すべてが原子力災害に備えた地域防災計画の策定を終えており、愛媛県においては、地域防災計画の修正及び原子力防災に係る広域避難計画を策定し公表されております。

 本県におきましても、高知県地域防災計画に原子力事故災害に対応する章を新設しましたたほか、原子力事故発生時に県の実施する具体的な対策を示した高知県原子力災害対策行動計画を現在策定中であります。

 

また、昨年6月議会で知事は、SPEEDIを用いた放射性物質の拡散予測の重要性を認め、一定の防護措置が必要な高知県にも拡散予測を提供するよう国に要望するとしていましたが、実現していません。

◆国民、県民が再稼働を判断する上でも重要であり、実現にむけ決意をお聞きします。

 

■県知事

 次に、SPEEDIを用いた放射線物質の拡散予測の提供についての国への要望に関するお尋ねがございました。

お尋ねにありましたとおり、本県のような原発から30キロ圏外の自治体も、SPEEDIを用いた放射性物資の拡散予測に基づきその影響範囲を事前にシミュレーションできるよう、昨年8月と9月に、全国知事会として国に要望してまいりました。

その結果、昨年10月に、国から各原発において福島第1原発と同量の放射性物質量が放出された場合の拡散予測シミュレーションの結果が公表されております。

この結果によれば、伊方原発による影響範囲は30キロ圏内に留まることが示されましたが、新たな国の「原子力災害対策指針」では、屋内退避や避難など防護措置を実施する際の指標が、SPEEDIによる予測線量から災害発生時のモニタリングによる実測値によることと変更になっております。

従って、本県は30キロ圏外ではありますが、放射線を実測し、その結果に応じた対応をとる必要があることから、県では、実際に原子力災害が起こったときの緊急時モニタリングや除染の実施、健康相談窓口の設置など実効的な対策を盛り込んだ行動計画の策定を現在進めているところでございます。

 

【次に、高校の授業料無償化について伺います。】

 国が2010年度から「公立高校授業料不徴収および高等学校等就学支援金制度」、いわゆる高校無償化を導入し、4年目を迎えました。これは、高校教育を「受益者負担主義」や「自己責任論」から、「憲法の定める教育の機会均等を保障するもの」へと転換するもので、ヨーロッパの大学院に至るまですべて教育は無償になっている諸国には遠くおよばないものの、大きな前進となりました。

また、日本政府は、1966年12月にニューヨークで作成された国連国際人権規約社会権規約13条2が求める「(b)、種々の形態の中等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすること。(c)、高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。」をずっと留保していましたが、2012年9月11日に留保を撤回することを国連事務総長に通告しました。これにより、日本政府は、国際的な法律によって「高校のみならず大学についても無償教育の漸進的な導入を実施すること」に拘束されることになりました。国際人権規約は、世界160カ国が批准しており、OECD加盟30カ国のうち、26カ国が高校授業料無償で、14カ国は大学まで無料にすでになっています。

これらの制度の日本での実現は、準義務教育化されている高校の授業料の無償化のみならず、世界の先進的な流れに沿うものとして、広く国民に歓迎されているところです。

2010年度の文部科学省による子どもの学習費調査によると、学校教育費の父母負担は、「高校無償化」の下でも私立高校68,5万円、公立高校23,7万円という結果が出ており、依然として家計の中で大きなものとなっています。全国で実態をもとに独自措置で一定の年収以下の家庭に私立高校授業料を実質無償化する自治体も出ています。しかし、教育を受ける権利が住んでいる自治体の財政力に左右されることがあってはなりません。国は責任を持って教育費の保護者負担の軽減を進めることが必要で、そのためにも「高校無償化」の維持・拡充が求められています。

ところが、2014年度文部科学省概算要求で、「高校無償化に所得制限を導入し、低所得者世帯への支援の充実や、公私間格差の是正をはかる」とする方向が打ち出されました。授業料無償化は、社会に定着しつつあり、推進こそすれ、後退はさせるべきではないことを現場に携わる者ならば誰しも感じています。雇用の不安定化や貧困化が進む中で、依然として日本の教育費に占める公費負担の割合は、OECD加盟国の中でも最低水準であり、国が教育予算を増やすことが急務となっています。そもそも、低所得者世帯への支援の充実や公私間格差の是正を図る教育予算は国が予算を増やして対応することが当然なのです。今回の文部科学省の打ち出している「所得制限の導入」は,教育の機会均等を崩して財源を作り出そうとする本筋から外れた方向で容認することはできません。

◆国に対して、教育予算をもっとふやすべきだという声を今あげるべきではありませんか。教育長に伺います。

文部科学省の概算の通り、拙速に所得制限を導入することがあれば、多くの問題が発生します。

すでに、全国知事会や全国都道府県教育委員会連合会、全国公立学校事務長会、全国特別支援学校長会、全国高等学校PTA連合会等など、多くの懸念と再検討を願う反対意見が次々とあげられています。

・高校無償化の趣旨を損なうということ、・憲法の定める教育の機会均等を保障する制度を後退させることになること、・国際人権規約を受け入れた国際公約に反すること、・所得制限を導入すれば、すべての高校生の家庭の状況を把握することが必要であり膨大な事務量が想定され、現行の体制では不可能であること、・無償化制度導入時に、財源確保のために特定扶養控除の縮減が行われており、制度導入前と比べてかなりの負担増の子育て世帯が生まれること、・保護者や生徒の精神的な負担となることが十分考えられること。等々、列挙することができます。

◆やっと世界のレベルで教育に国が予算措置を始めた途端に、制度を後退させるなどということは、すべきではありません。保護者や現場の声を反映させて、安易に無償化制度を後退させる所得制限は持ち込まないよう、国に対して要請すべきだと考えますが、教育長に伺います。

 

■教育長

 高校授業料無償化に関して、所得制限を導入するのではなく、国が教育予算を増額するべきではないか、また、所得制限を導入しないようを国に要請するべきではないか、とのお尋ねがございました。関連いたしますので、併せてお答えいたします。

 教育のための予算については、国は、新しい教育振興基本計画で、「OECD諸国など諸外国における公的な財政支出など教育投資の状況を参考とし、真に必要な教育投資を確保していくことが必要である」としており、厳しい財政状況のもとにあっても、必要な予算の確保に努めていただいていると受け止めております。

 一方で、教育の振興を実現していくためには、どのように限られた財源を活用していくか、ということにつきましては、高等学校の授業料の無償化だけでなく、例えば、幼児教育に係る保護者負担の問題や義務教育の充実のための少人数教育の推進など、数多くの課題に対して、全体として最適となる政策を実行していくことが必要となってまいりますので、それぞれの施策について費用と効果を検証しながら、真に必要な施策を実行していくことが求められていると考えております。

 世帯の所得にかかわらず一律の就学支援を基本としている現在の授業料無償化制度においては、無償化前から授業料が全額免除されていた低所得者には恩恵が届かず、授業料以外の教育費が依然として大きな負担となっていることや、私立高校では就学支援金が支給されても授業料の一部負担が残っていることなどの課題が指摘をされております。

 国において検討されている制度改正は、こういった課題に対応するために、所得制限を設けることで、生み出された財源を活用して、低所得者支援のための給付型奨学金の創設や公私間格差の縮小のために私立高校生対象の就学支援金の加算の増額などを行い、実質的な教育の機会均等の実現を図ろうとするものでございます。

 本県の経済状況や家庭の実態を勘案すると、こうした低所得者支援のための給付型奨学金の創設や本県教育に役割を担う私立高校への就学支援金の拡充などは、本県にとっても意義のあるものと考えます。

 現在、国において見直しの議論が進められておりますので、保護者や学校現場の負担軽減を含めて、新しい制度がより課題の解決につながりますよう、充分議論を尽くしていただきたいと思います。県教育委員会といたしましても、今後とも議論を注視するとともに、関係団体と連携のもと地方の実情を踏まえた提言などをおこなってまいります。

 

                

【次に生活保護行政についてお伺いします。】

  この8月1日から生活保護基準額が引き下げられましたが、支給額削減に「異議あり」と全都道府県で7600世帯を超える生活保護利用者らが不服審査請求を行いました。高知県内でも39世帯の方が審査請求を行っています。全国的には、これまでの審査請求の最多一千件余の7倍を超える過去最大の規模となっています。支援団体の一つである全国生活と健康を守る会の安形義弘会長は、かつてない規模の審査請求を「人間らしく生きさせて、という命の叫びだ」と強調し、その周りには、「子どもや近所、親子関係などで怒りをぶつけたくてもぶつけられない人がたくさんいる」とのべています。

  安部政権のもとで、8月に続いて来年4月、再来年4月と段階的に生活扶助の基準を平均6,5%、最大10%、総額670億円もの過去に例を見ない大幅な引き下げを行おうとしています。具体的には、例えば高知市で70代以上の単身世帯は月68950円から65560円、月3390円の引き下げとなり、一日一千円、月三万円足らずの食費相当分の1割を超える削減です。多人数や子育て世帯はさらに深刻です。夫婦と小中学生の子2人の世帯は、182040円が156790円、月25250円、高知市以外在住は月14870円引き下げです。母と4歳の子の母子世帯では、月7110円の引き下げで生活扶助額97260円になります。明らかに憲法で保障する生存権そのものを大きく脅かすもので、到底許されるものではありません。

  審査請求した80歳の女性は、「今年の夏は特に暑かったので電気代が2倍になった、食費も物価も上がり、着るものも買えない、甥の結婚式に行かないかんが困った、どう生活できるのか分からん、温かい手をさしのべてほしい」と話しています。ある女性は、「食事、電話代を倹約している、いとこや兄弟とよく交流していたが今は電話がかかってくるのを待っている、寂しい思いで生活をしている」とのことです。家業が倒産し、5年前から生活保護をうけた直後にくも膜下を患った68歳の男性は「、弱い人、病気の人、働けない人まで保護費を削るやり方は許せない」と訴えています。

◆現在でもぎりぎりの生活を送っているこうした利用者の生活の実態、思いをどう認識しているのか、

 また今回の過去最大規模になった不服審査請求をどう受け止めているのか、そして審査請求の十分な審議と正しい裁決を求めるものですが地域福祉部長に伺います。

  先ほど紹介しましたが、とりわけ子育て世帯の引き下げ幅が大きく、全国に比べ厳しい高知の家庭と暮らしにいっそう深刻な影響を与えることは必至です。

◆今回の生活保護基準引き下げが、子育てや子どもの教育に具体的にどう影響しているのか、またはするのか、実態調査を実施し、必要な支援と対策を強めるべきと考えますが地域福祉部長の御所見をお聞きします。

 

 今回の生活扶助基準等の見直しに伴う利用者への情報提供や説明を行うよう厚生労働省は要請しています。

◆高知市福祉事務所は、「生活保護基準額が変わります」というチラシを作成し利用者に届けるなどしていますが、その他の福祉事務所、県はどういう対応をしてきたのか、また少なくとも今後十分周知徹底を図るべきだと考えますが地域福祉部長の見解を伺います。

 

■地域福祉部長

 まず、生活保護基準額の引き下げに関して、生活保護受給者の生活実態などについての認識、審査請求に関しての所見、子育てや教育への影響、生活保護受給者への周知徹底などといった、一連のお尋ねがありました。関連いたしますので、併せてお答えいたします。

 今回の生活保護基準の見直しに際しては、生活保護受給者への事前の周知を徹底するよう、6月に県下の各福祉事務所に通知を行い、すべての福祉事務所において、担当ケースワーカーが定例訪問の際に今回の見直し内容について説明を行っております。併せて、高知市をはじめ香美市、南国市、土佐市、四万十市、土佐清水市の各福祉事務所においては、お知らせ文書を配布するなどの周知徹底を図るための取り組みをいたしております。

 また、基準が改定されました8月からの生活保護支給額の変更につきましては、事前に生活保護受給者世帯に対して、変更決定通知を行いますとともに、個別の問い合わせがあった場合には、担当ケースワーカーがより丁寧な説明に努めて来たところですが、今後とも見直しの内容については、なお一層の周知徹底を図ってまいります。

 次に、今回の生活保護基準の見直しの影響による生活保護受給者の方々の生活実態などの認識でありますが、直接のお話を伺っておりませんが、今回の見直しに際して、39件もの審査請求がありましたことから、引き下げについてのご理解をいただけていない方々が県下にいらっしゃるということも事実だと受け止めております。今後とも、福祉事務所を通じまして、生活保護受給者の方々の生活実態などの把握に努めますとともに、困って福祉事務所に相談に来られた方々に対しましては、相談内容を十分にくみ取り、適切な対応を心がけてまいります。

 また、今回の生活保護基準の見直しで、全国各地において不服を申し立てる審査請求が提出されていることは承知しておりますが、県に提出されました審査請求につきましては、該当する処分庁の福祉事務所に対し、弁明書の提出を求めるとともに、審査請求された方々には、弁明書に対する反論書の提出をしていただくなどの法手続きを経たうえで、適正な審理に努めてまいります。

 次に、子どもや子育てへの影響でありますが、今回の生活保護基準の見直しにおいて、教育扶助費についての改定はなされておらず、これまでと同様な支給がなされており、改めての実態調査を行う予定はしておりませんが、生活保護を実施していく上で、子育てや子どもの教育に配慮することは、大変重要なことだと認識しております。

 このため、県では、幡多を除く四つの福祉保健所において子育て支援専門員を配置し、子育てや教育に関する様々な相談に応じるとともに、学校等の関係機関とも連携して、不登校などの問題への対応や、学習習慣の確立に向けた支援などを実施しているところです。

 今後とも、子育て支援専門員の活動などを通じまして、今回の見直しが与える子育てや教育面での影響などにも留意しながら、こうした生活保護受給者世帯を対象とします子育てや教育に関する支援に積極的に取り組んでまいります。

 

 次に生活保護基準の引き下げは、現在の利用者だけでなく、誰の人生にも不測の事態がありその最後のセーフティネットの機能が果たせなくなると共に、あらゆる国民生活に広く深刻な影響を与えます。

  その一つである就学援助制度についてでありますが、生活保護基準の引き下げにともなう援助の打ち切りや支給基準の縮小などがあってはなりません。

◆教育長は就学援助制度への影響をどう認識しているのか、また厚労省は影響のないように要請する通達を地方自治体に出していますが、国がそのための財政的保証をすることが求められているのであり、国に強く働きかけるとともに、現行水準の維持・改善を図るべきと考えますが合わせて伺います。 

 

■教育長

 次に、生活保護基準の見直しに伴う就学援助制度への影響をどう認識しているか、また、国がそのための財政保障をすることを強く働きかけるとともに、現行水準の維持・改善を図るべきではないか、とのお尋ねがございました。

 基準の見直しに伴い、経済的理由により、子どもたちに教育を受ける機会が妨げられるといった影響がないようにすることが重要であると考えております。

 また、国においても、この見直しが就学援助など他制度へできる限り影響が及ばないように、それぞれの制度趣旨や目的などを十分考慮しながら対応することを基本的な考え方としております。

 就学援助制度は、市町村において実施されているものですが、生活保護世帯への就学援助に係る事業費は国の補助対象となっており、今年度当初に要保護者として就学援助を受けていた世帯で、特に困窮していると市町村が認めた世帯については、今年度中は引き続き補助の対象とされております。

 また、市町村が独自の基準を設けて実施している準要保護者への就学援助についても、生活保護基準の見直しに伴い援助が受けられなくなるといった事態が生じないように、各市町村で対応していただいているとお聞きしております。

 市町村がこの就学援助制度を26年度以降も継続して運営していくために、国の財政措置が確実に実施されていくことが必要であると考えておりますので、今後とも、全国都道府県教育長協議会などを通じまして、充分な財源措置が講じられるよう、国に要望してまいります。

 

 

◆来年度に影響が出ることになる住民税の非課税限度額は、医療費の自己負担限度額、県の重度障害児者医療費助成制度、保育料の軽減、障害者の通所・入所サービス料などなど広く連動して負担が増えることになります。これらへの影響と対応について地域福祉部長の見解を伺います。

 

■地域福祉部長

 次に、生活保護基準の引き下げに伴う他の制度への影響についてお尋ねがありました。

 政府では、今回の生活保護基準の見直しができるだけ他の制度に影響を及ぼさないようにするという対応方針を、本年2月の閣僚懇談会において、全閣僚が申し合わせているところです。

 県といたしましても、こうした対応方針について、2月に庁内で情報共有を図りますとともに、5月には、国からの正式通知を受けまして、政府の対応方針を踏まえた対応を、関係部局をはじめ各市町村に文書で要請いたしました。

 生活保護の基準額を目安にして設計されます住民税の非課税限度額については、平成26年度の地方税制の改正作業において、決定されることとされ、住民税の非課税限度額に連動する他の制度においても、その結果を受けてからのたいおうとはなりますが、国の対応方針に沿って、影響が及ばないような対応がなされるものと考えております。

 また、生活保護費の基準を参照するその他の制度につきましても、生活保護費と同様の支援給付となる一部のものを除きまして、影響が及ばないよう配慮がなされるものと考えております。

 今後とも、今回の生活保護基準の見直しに伴う他の制度への影響についての情報収集に努めてまいりますとともに、国の対応方針の周知の徹底を図ってまいります。

 

 

 

  今回の生活保護基準の引き下げは、社会保障審議会生活保護基準部会での議論に基づくものとしていますが、5年前の基準改定の時に否定された第1十分位の人との比較論がもちこまれ、そのうえ急遽「デフレ論」が押しつけられています。生活保護消費者物価指数を計算するというものですが、パソコンや電化製品など厚労省がセレクトした品物で物価指数を計算したもので、生活保護の世帯の消費動向とまったく違うものとなっています。まさに政治主導による削減ありきの内容、手法です。

◆こうした経過と共に、生活保護利用者の生活実態、そして現在の電気やガス、相次ぐ食料品等の値上げなどによるいっそうの生活の圧迫、広範な国民生活への深刻な影響などを考えた時、今回の生活保護基準の引き下げ計画の中止、せめて削減前に復活するよう国に求めるべきだと考えますが、知事の御所見を伺います。

 

■県知事

 次に生活保護基準の引き下げの中止を国に求めるべきだとのお尋ねがありました。

 今回の生活保護基準の見直しは、国の社会保障審議会の中に設置された生活保護基準部会が、見直し前の保護基準と一般低所得世帯の消費実態を比較してその乖離の状況を詳細に分析した検証結果と、前回の平成20年の生活保護基準の見直し以降の物価動向等を勘案して実施されたものだと受け止めています。

 現在、生活保護基準が引き下げられたことによる生活保護受給者の方々の日常生活への影響などにつきまして、県下の福祉事務所を通じてその状況把握に努めているところであります。

 他方、今後発生します公共料金等の引き上げや食料品等を中心とする物価の動向、あるいは消費税の引き上げが決定された場合の影響などにつきましては、生活保護受給者の方々にとりまして、状況によっては、さらなる負担となる可能性もございますので、生活保護受給者の方々への相談・支援の取り組みにつきましては、これまで以上に丁寧に行っていく必要があるものと考えています。

 このため、今後とも、今回の生活保護基準の見直しによる影響を良く見極め、具体的に生活が苦しくなったという状況が多数把握できれば、必要な機会を捉え、国に対して、その実態を伝えていく必要があるものと考えているところでございます。

 

 

【みなし寡婦控除の制度導入について伺います。】 

寡婦控除は、一度でも婚姻歴があれば,扶養している子がかつての夫との間に出生したかどうかを問うことなく適用される一方、法律上の結婚を一度もしていないひとり親には、税法上の「寡婦控除」が適用されていません。そのため結婚歴のある親に比べ、高い税や国保料・保育料、公営住宅の入居資格及びその家賃での負担を強いられており、日弁連は今年1月、実態を踏まえ「合理性のない差別」として、国、東京都、沖縄県に救済措置を求めたことから、「みなし寡婦控除」を実施とする自治体が少しずつ増加してきています。

「母子世帯」の子どもの貧困率は66%と突出しています。その中でも未婚者は困窮の度合いが高くなっています。厚労省の最新の全国母子世帯等調査結果では、年間就労収入は、平均で181万円、死別母子世帯は256万円,離別母子世帯は176万円,非婚母子世帯は160万円です。

第二次高知県ひとり親家庭等自立促進計画によると高知県の1人親家庭は、2012年度母子12832世帯、父子2529世帯となっており、1人親となった理由は母子の7.7%が未婚(2010年度)ですから、約千世帯、千人のこどもが不利益をこうむっていることになります。

先日には、結婚していない男女間に生まれた婚外子の相続分を、法律婚の子の半分とする民法の規定に、最高裁が違憲の判断を下しました。「寡婦控除」規定の改定もまったなしです。

◆県として「寡婦控除」規定の改定を政府にもとめるべきではないか。また、その間、「みなし寡婦控除」規定を全県に普及するための施策にとりくむべきと思いますが地域福祉部長にお聞きします。

 

■地域福祉部長

 次に、未婚の一人親家庭に対する寡婦控除についてのお尋ねがありました。

 本県において、婚姻歴の有無を問わず一人親家庭に支給される児童扶養手当受給者のうち、未婚の一人親家庭は、平成25年6月末現在で、879世帯となっており、家族の形が多様化する中、全国と同様に増加する傾向にあります。

 こうした家庭への支援策のあり方などについては、現在、国の専門員会において検討がなされており、8月の中間とりまとめでは、未婚の一人親を「寡婦(夫)控除の税制上の趣旨や、みなし適応した場合の財源の問題などにも留意する必要がある。」とされています。

 また併せて、税制の見直し議論において、寡婦(夫)控除などの人的控除については、個人のライフスタイルに影響されない中立的な税制に是正する観点から、簡素化・集約化を進める必要があるといった意見もありますし、議員のご指摘にもありました、民法の遺産相続規定について最高裁の違憲判断の影響といったことも考えられます。

 県としましては、未婚の一人親家庭の生活実態を踏まえ、婚姻歴のある一人親家庭と同様の扱いにすべきという意見があることは承知しておりますが、この問題については、今後とも国において制度の趣旨等を踏まえ、多方面からの検討が加えられるべき問題だと考えており、その動向を注視してまいりたいと考えています。

 なお、公営住宅の家賃や保育料などへの寡婦(夫)控除のみなし適用の件につきましては、結果として、市町村の財政負担が生じますことから、各市町村の自主的な判断のもとに行われる必要があるものと考えられますし、県から市町村に対して一律的な適用を求めるといったことは、かえって市町村間に、ばらつきを生じさせ、根本的な問題解決につながらないことから、難しいものと考えます。

 

【次に、土電問題について知事にお伺いします。】

  7月30日に外部調査委員会による外部調査報告書が発表されましたが、残念ながら十分な全容解明と県民の納得できる調査結果と言えるものではありません。

  まず、暴力団排除条例に関わってですが、報告書の随所で「約30年前に暴力団を引退したものの現役の暴力団に対しても一定の影響力があったと思われる」と指摘しています。そして元組長との交流・交遊は元会長、元社長自身や土電にとって特に対株主との関係において有益になるとの意図があった、としています。

◆この「一定の影響力があった」とする具体的事実、根拠について知事に伺います。またこの指摘は極めて重大だと考えますが、認識について合わせてお聞きします。

 外部報告書は、暴力団排除条例Q&Aにある、反社会的勢力の一例としての「暴力団員でなくなってから5年を経過していないもの」を適用して、暴力団員であったということはできない、と結論づけています。

◆大変無理がある理屈だと考えますが、「5年とする」根拠について知事に伺います。また、「現役の暴力団に対しても一定の影響力があった」とする指摘に全く矛盾するのではありませんか、お聞きします。

 

■県知事

 次に、土佐電鉄に関するお尋ねでございます。

 まず、外部調査委員会の報告で、「現役暴力団に対する一定の影響があったと思われる。」と記載されていることに関して、その根拠と認識について、また、暴力団排除条例Q&Aにある「5年」の根拠、及び「一定の影響力があった」とする指摘との矛盾についてお尋ねがありました。

 関連しますので、併せてお答えをいたします。

 外部調査委員会からは、〝暴力団関係者により告別式が開かれたという事実をもって、一定影響力があると推認した旨を述べたものであり、「暴力団員」に当たるかどうかは、公的に示される判断基準に基づき検討する必要があるという観点から、県警による「暴力団排除条例Q&A」を基準に判断した〟とお伺いしました。

 多くの県で、暴力団排除条例の条文の中では、「暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しないもの」を「暴力団等」と規定していることから、全国的な状況を見ましても、「5年」は一般的な基準ではないかと受け止めています。

 他方、矛盾があるとのご指摘は、現役の暴力団員に一定の影響力があると思われるとしながら、引退してから5年以上経過しているから不問にするというのはおかしいのではないか、というご指摘かと思います。

 今回のケースでは、引退してから5年以上経過していることのみならず、条例施行時には、すでになくなっていたことから暴力団員等に当たらず、また、その人物との関係によって、土佐電鉄が現役の暴力団員との面識や関係を有するに至る契機があったとは認められないことから、条例上問題になるような影響も認められないという判断がこの報告書においてなされたものと受け止めています。

 県としましては、報告書にもありますように、条例に抵触するものではないものの、〝暴力団に一定の影響力があったと思われる人物との関係の維持が株主との関係において有益になると判断していた可能性は否定しがたい〟との報告書の指摘を、土佐電鉄には、まさしくコンプライアンス上の問題として、厳しく受け止めてもらう必要があると考えているところでございます。

 

◆また元会長、元社長の言動、行為は「コンプライアンス上極めて問題」との指摘がありますが、どの法令に抵触、あるいは順守していないと考えているのか、お聞きします。

 

■県知事

 次に、元会長と元社長の言動は、コンプライアンス上極めて問題とされているが、どの法令を遵守していないのか、とのお尋ねがありました。

 コンプライアンスには、単に法令遵守という意味だけでなく、広く社会的規範や企業倫理といったことも含まれておるものと考えております。

 今回の報告書では、元会長と元社長の一連の言動が、そのような規範や倫理面から見て不適切であると、指摘されているものと受け止めているところでございます。

 

 

  次に新たに明らかになった優待航空券等についてですが、外部報告書では、反社会的勢力への利益供与等の事実、疑わせるような事実は見受けられなかった、と報告しています。しかし、それ自体も、「航空券管理メモ」なるものによる判断と言わざるを得ず、取扱規程もなく、現物管理も厳格に行われていない、と報告書にあるように事実の全容が明らかになったと到底言えるものではありません。また同時に会社法に抵触する疑いが浮上していることは極めて重大であり、株主優待券問題の全容究明は、コンプライアンス確立と県補助金凍結解除の大前提です。事実究明への意思、姿勢が十分だと見えない中で当事者任せにできるものではありません。

 ◆ 県としてあらゆる手段を行使して、全容を明らかにするためにイニシアティブを発揮すること、またその一つとして株主である高知市に株主代表訴訟を提起、協議してはどうか、と考えますが知事の所見を伺います。

 

■県知事

 次に、県として、全容解明のためにインシアティブを発揮して、高知市に株主代表訴訟を提起、協議してはどうか、とのお尋ねがありました。

 この度の土佐電鉄の一連の問題に関しては、県としましては、これまでも事実解明や再発防止策に関して指導・助言を行ってまいりました。

 先般、開催された「中央地域公共交通再構築検討会」においては、議会等からのご意見も踏まえ、副知事から優待航空券問題を含め、会社としてなすべきことについての助言を行っております。

 土佐電鉄においては、一連の問題などに対する外部からの意見や助言等に対処するために、

社内に「コンプライアンス諮問委員会」を設けておりますことから、そうした仕組みも活用して県民の疑念を払拭し、信頼回復に取り組まれるものと期待をしております。

 株主代表訴訟につきましてのご質問でございますが、県が、そうした株主の権利行使に関して関与する考えはございません。

 

 

  ◆9月24日の検討会では、約200枚の優待航空券は元会長の個人所有、という会社の見解を示しています。外部報告書が会社財産とする優待航空券約200枚を元会長の個人所有と言うことになると、正確な申告がなければ所得税法に抵触する可能性が生まれるのではないかとの指摘もきこえてきています。  

マスコミなどで本人が示唆していますが、不特定多数の有権者に配ったと言うことになれば公職選挙法に抵触するのではないかと考えますが、選挙管理委員長に伺います。

 

■選挙管理委員長

 土電問題の項目のうち、個人所有の優待航空券を不特定多数の有権者に配ったことは公職選挙法に抵触するのではないか、とのお尋ねがございました。

 議員ご指摘の事案につきまして、選挙管理委員会は、事実関係を把握しておりませんし、また、把握する立場にありませんので、法制度の枠組みとその解釈について、あくまでも一般論としてお答えをさせていただきます。

 公職選挙法第199条の2第1項では、公職の候補者等の寄附の禁止について規定されており、「公職の候補者等がその選挙区内にある者に対して寄附を行うこと」は、親族に対してする場合など一定の場合を除いて禁止されております。

 この規定にあります「公職の候補者等」とは、現に立候補している者、立候補の意思を有している者、さらには現在選挙によって公職に就いている者の全てが該当することになります。

 また、「選挙区内にある者」とは、その者が選挙権を有するかどうかに関わらず、その選挙区内に住所などを有する者はもとより、その選挙区内に住所などを有しない者でも寄附を受ける際その選挙区内に滞在する者も該当することになります。

 次に、「寄附を行うこと」の「寄附」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与や交付、又はその約束であって、会費や党費をはじめとした債務の履行としてなされているもの以外のものが該当します。

 「その他財産上の利益」とは、選挙の公正を確保するという観点から、金銭以外の有体、無体の財産上の利益及び必ずしも客観的交換価値のあるということを必要とせず、客観的に見て例え無価値と思われるものでも、受ける者で主観的に財産上の価値があると認められる場合も含まれると広く解釈されているところであります。

 お尋ねの事案が公職選挙法に抵触するかどうかにつきましては、先ほど申しましたが、選挙管理委員会は、個別の事案についての具体的な事実関係を調査、判断する立場にないことからお答えすることができません。

 個別の事案が公職選挙法に抵触するかどうかにつきましては、法と証拠に基づいて司法の判断に委ねられるものであります。以上でございます。