議会報告

  • 2012年12月27日
    国民の意思を正確に反映する選挙制度の抜本的改革を求める意見書への賛成討論

塚地佐智 議員 【議案討論】

私は日本共産党を代表して、ただいま議題となっています議発第11号国民の意思を正確に反映する選挙制度の抜本的改革を求める意見書に賛成をし、議発第12号地方の意見を尊重した衆議院選挙制度改革を求める意見書に反対の立場で討論を行います。

小選挙区の「1人別枠方式」を違憲とした2011年3月の最高裁判決を受け、また、政治不信・政治批判が交錯するもとで、衆議院では選挙制度改革を巡る各党協議が進められてきました。国会の中でも、小選挙区制度による「議員の質の劣化」が議論となり200人を超える衆議院議員で構成される衆議院選挙制度の抜本改革を目指す議員連盟、略称中選挙区議連が結成されるなど、小選挙区制度の見直しを求める機運も大きくなっています。しかし、先に行われた衆議院選挙は、解散の土壇場で衆議院小選挙区の議員定数を5議席減らすいわゆる「0増5減」の衆院定数削減等関連法案を成立させ、選挙後の通常国会で民意を反映する国会議員の議席をさらに削減するとの民・自・公の合意文書が取り決められ、制度改革をすることなく実施されました。

次期通常国会では、選挙制度の改定が大きな議論となります。 先の総選挙の結果から、その問題点をしっかりくみ取ることがもとめられています。

今回の総選挙では、 戦後最低の投票率で、自民党が定数の6割を超える294議席を確保するという結果となりました。
しかし、小選挙区で自民党候補者名を書いたのは全有権者の約25%、比例代表に至っては約16%にすぎず、12月18日付東京新聞も「自民、民意薄い圧勝」との記事を報道。選挙区でも比例代表でも自民党候補者名や党名を書いた有権者数は、議席占有率と大きくかけ離れたものであり、議席数と世論との間に大きな乖離が生ずる結果なりました。

民主党は、小選挙区で自民党の約半分にあたる22.81%の得票でしたが小選挙区での獲得議席は自民党の10%強の27議席にとどまっています。今回は自民党が43%の得票で79%の議席を独占しましたが、前回の選挙では民主党が4割台の得票で7割を超す議席を占めていました。いわゆる大政党の”一人勝ち”は、小選挙区制の元々の欠陥といえます。

大政党に有利な反面、小選挙区は大政党以外を議席から閉め出し、議席に結びつかない大量のいわゆる「死に票」を生み出します。今回の選挙でも自民党と民主党以外の党が小選挙区で獲得した議席は全体の10%強で、小選挙区選挙で投票された約5962万票のうち、議席に結びつかなかった「死に票」は、53%にものぼります。こうした結果が、選挙への参加意欲を低下させ、低投票率という結果につながっていることも大問題といえます。

1990年代にそれまでの中選挙区制に代えて、小選挙区制を導入した際、盛んに「政権交代」が実現可能な制度であるとの宣伝がなされました。しかし、小選挙区制は得票がわずかに移動しただけでも議席が大幅に変動する不安定な制度となっていますす。実際、今回の自民党の得票は、自民党が大敗した前回の選挙よりも219万票も少ないのに、民主党の不振と低投票率で自民党の得票率が39%からわずか43%に上がったことで、議席は4倍にふくれあがっています。本来政権交代は民意を正確に反映してこそ行われるべきで、選挙制度を使って人為的に政権交代を実現しようとすること自体、本末転倒といわねばなりません。

このような今回の選挙結果は、民意を反映しない小選挙区制度の問題点が如実に示されたものとなり、マスコミも含めた各方面から、小選挙区を中心とした選挙制度の抜本見直しを求める声が大きく上がっています。

「1票の格差」の問題でも、小選挙区制は全国を300の選挙区に細分化するため、人口の移動に伴い絶えず「1票の格差」が生まれるという欠陥を持っています。また、本県のような東西に長く1市集中の県にあっては、行政区の分断、生活圏を無視した区割りが常につきまとい以前のような中選挙区制に戻すべきとの声も上がっています。もっとも民意を正確に反映させる比例代表制を中心とした見直しこそ急ぐべきです。

地方の意見が尊重されることを求めた自民党提出の意見書は、この小選挙区制度の根本問題の指摘もなく、国民の合意にもなっていない憲法改定まで提言し、国民主権、議会制民主主義にとって最も重要な1票の格差を軽んじる意見書となっており賛同できません。

また、地方の声が生かされるかかどうかは、小選挙区の定数や区割りの問題ではなく、各党の政策によって形作られるもので、各党が地方を重視した政策を打ち出すかどうか、それを実践するかどうかにかかっています。それは選挙制度による問題とは筋の違った問題です。今日地方が疲弊したのは、ひとえにこれまでの木材の関税0や米などを含む輸入の自由化の拡大、大型店舗進出の規制緩和など一次産業や地域産業を衰退に追い込んだ財界やアメリカ資本言いなりの歴代政府のもたらせた政治の結果であり、今後改めるとすれば、各党の政策、とりわけ、政権党となった自民党自身が地方重視の政策判断をとるかどうかにかかっています。

民意を切り捨てる小選挙区制度を廃止し、民意を正確に反映させる比例代表の定数削減ではなく充実の方向へと選挙制度の抜本改革を進めることこそ、民意を正確に反映する改革となるもので、今後の選挙制度の改革議論にこの声を届けることこそ県民が求めているものです。

なにとぞ、同僚各位のご賛同をお願いし私の討論とします。