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- 2012年03月16日
- 議会(質問・討論)
- 平成24年度高知県一般会計予算に対する修正案への提案説明
2012年2月定例会 塚地佐智議員
私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました議発第2号「平成24年度高知県一般会計予算に対する修正案」についての提案理由の説明を行います。
本修正案は、一般会計予算の中、県立大学整備費設計調査委託料1億1844万3千円、全国学力・学習状況調査集計等委託料1207万5千円と、学力状況調査集計等委託料1943万9千円、新図書館等整備事業費2億5878万6千円、合計4億874万3千円の減額、そして永国寺キャンパス設計委託料債務負担行為4313万4千円の削除を求めるものです。
まず県立大学整備費について申し上げます。
基本設計費など、債務負担行為を含め1億6100万円余の予算は、事実上高知短期大学の廃止を前提とするもので到底認めることはできません。
約2万8千人にも及ぶ知事への要請署名、91%が存続を求めたパブリックコメントに示されているように、高知短期大学存続を求める県民の強い願いが広がり、明らかになっています。
高知短大は、短期大学士の取得、授業料が安く働きながら学べる、2年制だから通える人への学びの場、だれもが挑戦できる入試制度、そして4年制への編入の道、これらが一体となっているからこそ、誰もが学びたいときに学べる場を県民に保障でき、毎年約100名の入学生を迎えるかけがえのない役割、全国に誇れる存在意義が有るのです。
県や知事が言う「発展」とする内容は、高知工科大学、県立大学の両4年制大学の定員の拡大、30人程度の夜間主コースと授業料の半減、社会人特別入試の実施などは、もちろん県民の学びの機会を拡充するものです。しかし問題は、これらの機能と組織では、誰もが学びたいときに学べる高知短期大学が現在担っている役割を受け継ぐことができないのです。発展的解消の名で、県民の学ぶ権利の縮小させることは認められず、高知短期大学を廃止すべきではありません。
今議会では強引な手続き、手法の問題も明らかになりました。県民へのパブリックコメントの際に、県が示した計画案は、土日夜間開講の検討、社会人特別入試の検討などと「検討」の段階で、県立大学学長が2月21日付の新聞紙上で述べたのも、4年制の夜間について2つの案を検討をしているというものでした。しかしいつの間か、県議会の知事答弁でも所管の常任委員会に提出をされた県の基本方針にも、「検討」の2文字がなくなり、決定事項のような説明となりました。これらの制度のあり方を決定する権限は、公立大学法人理事会ですが、今日に至るもまだ正式に方針決定されていません。今議会で議決するためのあまりにも強引な方針決定と発表であり、その実効性も担保されておらず認められません。
とりわけ、平成22年3月の県立大学改革にかかる永国寺キャンパス検討会の報告を軽視、ないがしろにしている問題は重大です。報告では高知短期大学のありかたについては、新たな社会科学系学部の設置状況を踏まえて検討すべきである、とし、合わせて、その際短期大学として存続させることや短期大学部として組織を再編することなど、その設置形態についても検討すべきである、と明言し、入学定員についても検討する必要がある、としています。しかし常任委員会審査の中で、この検討が県や検討チーム等で正式に検討されていないことが明らかとなりました。
知事は、夜間4年制と2年制の併存についての坂本茂雄議員の質問に、「より良い制度ができる中、多額の経費をかけて残す必要性は何なのか、県民に説明できるだろうか」と本会議で答弁をされていますが、多額の経費とは、費用対効果はなどの説明は県議会も県民も受けていません。
短期大学存続を求める会のみなさんからも提言されていますが、検討会報告に沿って真摯な検討を行い財政面も含めて、県民に情報の提供と説明責任を果たすことが求められており、まともな検討もせず、短大廃止ありきの拙速な判断をすべきでないことを改めて強く訴えるものです。
開学から60年近く、約6千人の卒業生を送り出し、県下各地の地域社会や地域経済を支える役割を果たしている大学。誰もが学びたい時学べる場を県民に保障する高知短期大学の存在意義は、課題解決の先進県をめざす上でもますます重大となっています。
いま、県と県議会に求められているのは大学改革の総合的で十分な検討を行い、県民への情報提供と説明責任を果たすこと、双方向の対話と県民の意志を反映させることだと考えます。それらを実施することもなく短大廃止を既定路線にしようとしている本予算は認められず、予算を強く減額を求めるものです。
次に、全国学力・学習状況調査集計等委託料と、学力状況調査集計等委託料の減額について申し上げます。
高知県学力定着状況調査実施事業は文科省が小6と中3生を対象として実施する全国学力・学習状況調査に加え、新たに小5と中2生を対象とする県独自の学力テスト実施に向けて計上されたものです。次期教育振興基本計画重点プラン案ではこれらの施策を通して小学校は全国上位に、中学校は全国平均まで引き上げるとしており、際限のない学力競争へと義務教育段階の学校と児童・生徒を追い立てる資料となり容認できるものではありません。
すでに、独自の学力テストを2004年から実施をしている東京都では、区市の独自学力テストと成績の公開と学校選択制とをリンクさせ学力向上をはかるとしてきましたが、その弊害が出始めています。2008年以降、東京の公立中学校卒業生の全日制高校進学率は90%を下回り、定時制高校にも進学できない青年が、教育の機会を奪われたまま毎年大量に社会に送り出され、足立区では学力テストの見直し、江東区では学校選択性の見直しなどがなされ始めています。また、3月4日付朝日新聞は「落ちこぼれゼロ 夢の果て」とアメリカのブッシュ前政権が10年前に作った「落ちこぼれゼロ」法によるテスト至上主義の破綻の報道をしています。「教育技術を学んだ優秀な教師を送り込み、テストの点を上げる反復練習を繰り返した結果、一時的に点は上がった学校はあった。だが、長続きしなかった。大学入学時に科学や歴史の基礎的知識が足りない子も増えた。テストのための教育が広がり、かえって自分で考える力を失わせてしまった」との批判が高まり、オバマ大統領は1月24日の一般教書演説で「テストのための教育をやめよう」と宣言。教員確保や、学区ごとの福祉・教育支援に予算を付け始めている。と、報道しています。
これらの国内外の事例で明らかなように、学力テストを主軸に児童生徒の学力向上を図る取り組みの破綻は目に見えています。本事業費はこの際削減し、ゆとりある教育条件整備へとまわすべきです。
最後に新図書館整備事業費について申し上げます。新図書館等複合施設の基本設計の策定作業が進んでいます。私どもは、基本設計策定に当たって、立地場所の問題、さらに全国で例のない合築図書館であるのに、命令系統や館長の役割、業務分担など組織と運営、それら意思決定のあり方が極めて不明瞭で、県民の負託にこたえる図書館とはならないと委託料の減額を求めました。
この間、県民にわかりやすく説明ができランニングコスト削減に大きな効果があるBIM導入の断念、また、本来この段階で明らかにすべき設備の基本的配備や図書館機能、さらには、指揮命令系統、役割分担と意思決定方法などの合築による重大な課題での前進は見られていません。このような重要な基本設計段階における不備をそのままに、実施設計にかかわる委託料を認めることはできないことから削減を求めるものです。
以上 それぞれの事業について申し上げましたが、高知短期大学の充実発展、子どもたちの豊かな発達を促す取り組みの強化と、、高知市民と高知県民への図書館サービスの充実のため、県民の願いと声を受け止め、本修正案にご賛同くださるようお願い申し上げ提案理由の説明といたします。