議会報告

  • 2012年03月06日
    地域防災力の向上・体験学習徹底への取り組み、食品安全行政の強化について

2012年2月定例会 予算委員会質問 吉良富彦議員

質問項目

  1. 地域防災力の向上、体験学習徹底への取り組み
  2. 食品安全行政の強化について

1.地域防災力の向上、体験学習徹底への取り組み

■吉良議員

おはようございます。お許しが出ましたので質問に入りたいと思います。
 私はまず南海地震対策で地域防災力の向上、そして体験学習徹底への取り組みについて執行部にお聞きしたいと思います。

自主防災組織の結成や活動、避難訓練等、南海地震対策として地域防災力を促進するためには、防災意識向上を図る啓発や学習が不可欠です。中でも揺れや津波の恐ろしさを疑似体験できる学習は、自らが体感することで主体的な行動を促すには決定的な契機となるものです。

東日本大震災の映像を見るだけでも、自分ならどうするかと考えさせられてしまいます。映像を見たり、或いは揺れや津波を疑似体験したりすることは、自ら進んで防災への諸準備や率先避難行動へと突き動かす動機、原動力となり、それは間違いなく自主防災組織など地震対策の加速へとつながってまいります。このような我がこととして感じられる機会を県民に提供できる場としては、自分が暮らす地域の過去の災害の履歴を知り、シュミレーションなどで疑似体験できる設備を備えた防災センターが一般的には挙げられます。

私はかねてからそういった機能を持つ防災センターの必要性を訴えて、前知事時代には、防災センターに関する基本構想の設立案が具体的検討に至った経緯があると覚えております。防災センターの持つ意義や役割をどうとらえているのか、そして、検討されていた案はその後どのように扱われ位置づけられているのか、知事にお聞き致します。

■知事

南海地震に備えていくため、様々な形で防災教育や学習、啓発の機会を設けると言うことは非常に重要なことだと思っております。ただ、防災センターという形で、防災学習センターという形で大規模なものを立ち上げていくということになりますと、果たして財源はどうしていくのか、とか、更には運営の方法やその体制、さらには多くの県民に繰り返し活用していただくためにどうあるべきか、とか、色々様々な課題があるということではないのかな、とそのように考えておるところでございます。

他方、防災教育、学習啓発の機会を設けるということは極めて重要なことだとそのように考えております。今、これまでも「南海地震に備えちょき」という冊子の方を速やかに改訂をし、全戸に配布をし、新しく想定が出れば新しく改訂をして全戸に配布をする、ということやろうとしておるところでございますが、併せまして防災学習用冊子での先ほど申したこれらを使っての啓発、地域に出向いての学習会の開催とか、さらには起震車による揺れ体験とか、地域ぐるみで防災対策に取り組まれるようなきめ細やかな啓発活動にできれば軸足を置いていきたいとそのように考えておるところでございます。具体的にそれを担って頂く方々、こちらも新しくしっかり構成をされるという予定でございまして、来年度土木職員OBなどで構成をします「高知防災備えちょき隊」、こちらを結成していただきまして、地域地域に入って頂いて学習会を行ったり、訓練の実施をサポートしたり、また地域の皆様と一緒になって津波避難計画づくりなどを行っていく、そういう活動をして頂く予定でございます。土木職員のOBの皆さん、大変技術的な側面で多くの知見を持っておられますんで、そういう知見を生かしていただきながら地域防災力アップに向けた取り組みが行われるものと期待をいたしておるところでございます。現段階ではきめ細やかな啓発活動に軸足を置くという方針でいかしていただきたい、そのように考えております。

■吉良議員

施設にとらわれずに地域の中に入っていって防災力を強めていくことに今は軸足をおきたいということだと思います。
 関東や東海、東南海等の過去大震災にみまわれた地域で防災センターがない都県はありません。今はそのようなことで軸足をですね地域の方に置いて、箱物には置かない、ということですけれども、今後、防災センターの必要性について知事はどうお考えでしょうか。

■知事

様々なソフトを使いましたりとかですね、色んな映像等今、コンパクトな形で入手することができるとか、そういう状況でございます。コンパクトな施設であっても多量な情報を送ることが出来る、お示しできるような時代になってきているとそのように考えておるところでございます。果たして防災学習センターのような大型の箱物が必要なのか、それともきめ細やかな十分な情報量を提供していくような啓発活動に軸足を置いていくべきなのか、私は今は後者、こちらを中心にしていくべきではないのかな、とそのように考えております。

■吉良議員

今後、そのような選択肢が迫られる場合にですね、防災センターのあり方についても検討していただくように要望をしておきます。
 防災センターがない本県で、たった一つ県民に体験学習を提供できるものは起震車一台です。12月に公開された来年度当初予算見積もり段階で、南海地震対策の加速化と抜本的な強化・地域防災力の向上の項目に「みんなで体験する防災学習推進事業費」として、地震体験者並びに津波体験車の新規購入予算が計上されていました。起震車に加え津波体験車を配備することで防災センターのない本県での体験学習を強化する事業として大いに期待していたところでございます。
 NHKニュースは「高知県 津波体験車 初導入へ」と期待を込めて以下のように報道していました。
 近い将来起きるおそれがある南海地震への防災意識を高めてもらおうと、高知県は、コンピューターグラフィックスを使って、津波が押し寄せる様子を疑似体験できる車を全国で初めて導入することになりました。
 東日本大震災をきっかけに、高知県では西日本の太平洋沿岸で近い将来起きるおそれがある南海地震と津波にどう備えるかが改めて課題となっています。このためコンピューターグラフィックスを使って、沿岸に津波がどう押し寄せるのか疑似体験できる「津波体験車」を導入する事業費を平成24年度の当初予算案に盛り込む方針を固めました。コンピューターグラフィックスで津波を再現する施設は、大阪・西区や和歌山県広川町などにありますが、車で移動できる装置は全国で初めてだということです。高知県は「施設での体験は、来てくれる人だけに限られるため、移動できる車のほうがよいと考えた。イベント会場などさまざまな場所に出向いて、多くの人が津波の恐ろしさを体験できるようにしたい」と話しています。
 このように社会的な関心も集め期待も込めて報じられての一ヶ月後、今議会に提出された予算案から津波体験車も起震車も外され、その姿は見えなくなってしまいました。啓発も体験学習の提供も現状で十分足りているとの判断で地震対策事業から外したのか、その理由を危機管理部長にお聞きいたします。

■危機管理部長

揺れ体験と映像を用いた津波疑似体験を一体的に体験学習できるように新しい起震車と津波体験車の購入を予算要求することとしていましたが、一つには購入費用が大きいために国等の活用できる補助制度をあたるなど財源を再検討することとしたこと、また、二つ目には昨年12月27日に南海トラフの最大クラスの地震の想定が変わったことで震源域が二倍に拡大したこと、そして新たな被害想定が公表される等の動きに対しまして今後津波に関するコンテンツをより充実させていく必要があり、検討に少し時間がかかる等のことで今回の導入は見送ったところでございます。
 強い揺れからまず身を守り、津波からすぐに逃げることを徹底するためには実際に体験し、繰り返し学習できる起震車や津波体験車のような体験型学習媒体の必要性については十分認識しております。市町村や教育現場の声も聞きながら引き続き検討していきたいと考えております。

■吉良議員

いくら立派な避難タワーを作ってもですね、津波の恐ろしさを我が身で実感していない人は避難しません。率先避難をしてもらうためには様々な訓練も含めて、これだけとか、今回こっちだ、ということではなく、今は総合的な取り組みが必要だと思います。
 だから危機管理部長も今回津波体験車含めて見積もりに計上したと思います。額が大きいとおっしゃっておりますけれども、何億もの大きな額ではありませんでした。予算見積もりの計上額はいくらだったのか、その内訳を概要も含めて危機管理部長にお聞きします。

■危機管理部長

総額で言いますと、9,850万くらいになっております。そのうち車両が地震体験車が3,000万、津波体験車が3,000万。ソフトの導入が1,400万、その他運航管理費等が2,400万程度ということになっております。

■吉良議員

9,851万円、ということですね。ちょっとお聞きしたいんですけれども、総務部長。先だっての12月議会で県庁の本庁舎の耐震工事、都合いくらの追加予算を組みましたか。また予定していたアクションプランが要件に当てはまらず、不要額として残った産業振興事業費はいくらでしたか。これは産業振興部長にお聞きしましょう。

■総務部長

すいません、手元に細かい資料がありませんが、2億程度だったと記憶しております。

■産業振興部長

約8億円でございます。

■吉良議員

本庁舎の耐震工事で少し工事の予想が外れた、ということで当初予算に計上されていなかった2億以上の予算がすぐにつけられているではありませんか。また逆に予算計上されていた産業推進振興事業費8億円が執行されずに残ったりしています。このようなことから言えば、コンテンツの中身の充実のことは経過の中でできるわけですから、やる気さえあればかき集めてできる事業化は可能だと断じることのできる額だと私は思います。
 それは南海地震対策の主事業費179億円の枠でいうと0.5%、当初予算全体4340億円の枠の中では0.02%の事業費です。10億も20億もいって、どうしても構えられないというような額の事業ではありません。一体その予算査定のどの段階ではずされたのか、知事査定までいったのか、危機管理部長にお聞きします。

■危機管理部長

予算の協議の中でですね、先ほど申したお金の面だけじゃなしに12月27日南海地震の想定がかわりまして、震源域が2倍になっています。これにつきまして津波の高さも非常に大きくなると各地で色んなところで報道されております。そういったことで、実際に最大の津波でありますとか、震源域も高知県全域がその震源域に入るという状況の中で揺れはいいのか、津波はどういう状況になるのか、そういったことを十分に検討した上でコンテンツの中に反映していかなければならないということがございます。それがなければですね、現実的な疑似体験になかなかなりにくいということもありまして、色んな財政課との協議の中で危機管理部としても少し時間をかけて検討する必要があるということで見送ったところでございます。

■吉良議員

だからこそ予算をつけてですね、具体的な検討に入ると言うことが私は求められていると思います。繰り返しになりますけれども、たとえ避難タワーや自主防災組織、そして南海地震に備えちょきなどをつくり持っていても、本人自身が本気になる、そういう気になって自らが自主的主体的に揺れから身を守り、津波には率先避難行動をとらないと絵に描いた餅になると私思います。県自身が防災センター等がない現状で、県民をして自らの命を自らで守らねば、とその気にさせるきっかけとなりうる重要な事業を部長としても提案したわけですから、予算をつけてその中で対策を行っていくということは必要なことだと私は思います。
 ですから、本気で県民の命を守ろうと思っているのか、その本気度が問われることだと私はこの件では思います。再考して予備費を充てるお考えはないか知事にお聞き致します。

■知事

起震車と津波体験車、この重要性を否定しておるわけではございませんので、今後の前向きなる検討課題とぜひさせていただきたいと思いますが、先ほど来、部長も答弁しておりますように、まず第一に乗っけるべきソフトが大幅に変更しないといけなくなる可能性もあるということです。
 現在、新しい想定の見直しが行われているわけですが、併せて県も過去の履歴などを徹底して掘り起こして調査をいたしております。その中で従来西から水が来ると思っていたものが実際は東から来てた、とかですね、全然新しい知見がどんどん分かってきておるところでございます。また揺れのタイプにしても、非常に長周期の地震動などについてもよくよく検討していかなければいけない、とかそういうことも出てきているということでございまして、やはりこういう高額なものであり、かつ、本当に人々に正しく津波の知識を教えていくためにも最新の知見を盛り込んだ方がよかろうということで、しかしそこまでいかないまでのものについては今啓発冊子などで啓発している、ということでございまして、こういう啓発の諸ツールの中でどういう組み合わせでどういうやり方で運用していくのがいいか、という判断の中で今回は見送らせて頂いたということでございます。しっかりこの起震車、津波体験車が役割を果たせるべきステージというものが確実に来ると思っておるところでございまして、そういう中でどういうやり方がいいか、またしっかりと検討させていただきたいとそのように思います。

■吉良議員

現時点での選択は私は理解することはできませんけれども、その必要性についてはしっかりと認識をなさっているということですので、今後ぜひ実現するように要望しておきます。

次に現在保有している起震車の稼働状況を危機管理部長にお伺いします。使用回数とか日数、利用回数、そして県民の利用希望に応えられているのか、お聞かせ下さい。

■危機管理部長

現在あります起震車の稼働状況でございますが、平成23年度で今年の1月末時点でございますが、巡回をした日数は187日、そのうち起震装置を使って利用して頂いた使用日数は147日、体験車数は18026人となっております。
 また、県民の利用要望に応えられているか、というお尋ねでございますが、事故や故障により利用を停止せざる得ない日もございますし、特にイベントがですね、土日に固まっておるということもありまして、土日に利用要望が集中することが非常に多くなっておりまして、すべての要望には対応できていないというような状況でございます。

■吉良議員

二日に一回の利用になるということになるのでしょうかね。
 車両修理と起震修理の日が併せて30日、移動日などを考えるとフル稼働しているととらえていいと思います。年間18,000人の体験車を受け入れているということは大変効果的な設備だと私は思います。が、利用者からはいよいよ使い勝手が悪い、なんとか改善できないかという苦情が届いています。
 一般開放時の運転手とオペレーターに関わってのことです。起震車の利用者自らが伊野の消防学校まで取りに行き、運転してまた返す。しかも、大型と中型免許保有者が原則となっており、どうしてもいないときは普通免許で運転できるとなっていますが、事故が絶えないというふうに聞いております。そして、起震車を作動させるオペレーターは起震車操作員講習会を終了していないと作動させられないと要項にあるので、当該地の消防署の署員などに連絡し来てもらい起震のスイッチを押し作動してもらわなければならないというものです。実態はどうなのか、また事故も起きているのか、危機管理部長にお聞きします。

■危機管理部長

起震車の利用につきまして、事故・故障により、また定期点検もありますけれども、利用を停止せざるを得ない日があることでありますとか、また、そういう日以外にでもですね、イベントが集中して全ての要望に対応できないということは先ほどお答えしたところでございますが、事故につきましては今年度2回ありまして、接触でございますが、その修理に時間を少し要したということと、起震装置の故障が一度、事故等によります運休日数は44日ということになっております。また運転手の問題ですが、普通車でもかまわないということにはなっていますが、基本的には運転は市町村の職員が一番多くやっておりまして、教職員の方も少しいるというような状況です。また起震装置を操作するに当たっての講習会でございますが、毎年行っておりまして市町村職員でありますとか消防職員の方々が毎年100人くらい講習を受けて頂いてましてかなり多くになっているという状況でございます。

■吉良議員

当面ですね、一般開放日に運転手とオペレーターの配置を考えるべきだと思いますが危機管理部長、どうお考えでしょうか。

■危機管理部長

確かに接触等、ガードレールにぶつけたとかいう事故が2件ほどございまして、その修理には少し時間がかかっていますが、そういった運転に慣れていない方が運転をしているということ、また、オペレーターも市町村職員、消防職員が中心でございますので、すぐに段取りができるということにはなってないかもしれません。今後ですね、そういう問題点もございますので市町村でありますとか利用者の意見も聞きながらこういったことも検討していきたいというふうに思っております。

■吉良議員

県独自もですね、職員の任務配置の工夫で配属できるんじゃないかというふうに思いますので、併せて改善しておくように求めておきますけれども、よろしいでしょうか、危機管理部長。

■危機管理部長

実質に運転稼働させようとしますと運転者とオペレーターと操作者、三人くらいのセットの稼働となってきます。そういった面で色んなことを考えていく必要があると思うので、市町村、利用者の意見をお聞きしながら検討したいと思います。

■吉良議員

早急に改善していただくように要望しておきます。
 この項の最後に教育長にお聞きします。
 東日本大震災での釜石の奇跡といわれる釜石東中学校と鵜住居小学校の例は彼らが率先避難者となったことが地域の人々の命を救うことにつながったものでした。子どもたちに地震と津波の恐ろしさを実感させ、「想定を信じるな」「最善を尽くせ」「率先避難者たれ」の「避難の三原則」の防災教育が実を結んだといわれています。
 地震と津波のメカニズムなど知識として学ぶことはもちろん大事ですが、この目的にあるように地域の実情にあった過去の災害履歴や記録にもとづく防災学習や揺れとアニメーションによる津波の疑似体験をプラスして避難訓練を行えば、率先避難の意識付け等により多くの成果を生むことにつながっていくと思われます。
 現在は年間どれくらいの学校で何名の児童生徒が起震車での体験学習をしているのか。そして起震車や津波体験車での意義をどう認識しているのか教育長にお聞きします。

■教育長

起震車等の活用は防災教育を進めていく上で有効な手段の一つだというふうに認識しております。現在どれくらいが活用しているかということでございますが、平成22年度が幼稚園・保育所も含んでの話でございますが、平成22年度が110校でのべ8895名、23年度になりますと1月末まででございますが、164校でのべ13,194人ということでやはり東日本大震災を受けまして活用者がかなり増えている状況にございます。

■吉良議員

かなりの学校で必要として、そして子どもたちが体験しているということが分かりました。一年に一回はですね、体験学習する保障をするお考えはないか、また教育長としても起震車と津波体験車の購入を知事部局へ強く要請するべきだと思いますがお考えをお聞きします。

■教育長

起震車もまず循環計画でございますが、市町村単位で割り当てられておりますことから学校の年間計画と循環計画等を調整する必要があります。従いまして現在ある起震車の活用につきましては危機管理部や市町村と連携しながら学校での活用の促進を働き掛けていきたいと思います。
 それで新しい起震車を、というお話でございますけれども、先ほど申しましたように私は教育上の効果はあると思っております。従いまして今後南海地震に対する防災意識の向上のためには何をどうすべきかという大きな観点から危機管理部と検討協議をしていきたいと考えております。

2.食品安全行政の強化について

■吉良議員

次にうつります。
 食品安全行政の強化についてお聞き致します。
 安全宣言をした福島県産米から次々を暫定基準値を上回る放射性セシウムが検出され、市場流通していた乳児用粉ミルク「明治ステップ」からも暫定基準値を下回るものの放射性セシウムが検出され、日本国民だけでなく日本製粉ミルクを利用する韓国国民にも衝撃を与え、国や県の安全宣言の信頼性が大きく崩れました。
 本県では、昨年7月12日、高知市のスーパーで販売され家庭の食卓にあがった福島県南相馬市から出荷された牛肉が放射性物質・セシウムに汚染されていたことが判明し、県民に大きな不安を与え、小売業者など関係者にも衝撃が走りました。こういった県民の食品や環境への放射能汚染に対する不安にこたえる食品安全への体制の強化が望まれています。
 そこでます健康政策部長にお聞きします。7月の汚染牛肉の検査結果、そしてその後定期的に行われた牛肉の検査結果をお示し下さい。

■健康政策部長

牛肉に関する検査につきましては平成23年7月11日に高知市内の量販店におきまして暫定規制値を超える牛肉が販売されたという情報が届いて以来、放射性物質に汚染された疑いのある牛肉22検体について検査を行いました結果、6つの検体から最小で47ベクレル、最大で2710ベクレルの放射性セシウムが検出されております。これとは別に県内のスーパーマーケットで流通している牛肉の安全性を確認するために7月15日から高知市と共同で四日連続して一回に10検体ずつ一般流通品のモニタリング検査を行いました。最初の1検体から99ベクレルの放射性セシウムが検出されましたけれども、それ以降は検出されませんでしたので、翌週からは週一回、8月からは月2回、9月からは月1回としまして合計12回、計120検体のモニタリング検査を行いました。
 放射性物質に汚染された疑いのある牛肉の検査におきましても7月15日以降はいずれの検査からも放射性物質の検出がないことや4月から8月にかけまして国が指定しております17の都県の出荷時における検査体制が順次整備されましたことから暫定規制値を超える牛肉の新たな出荷もなくなりましたので平成23年の12月をもちましてこの検査は一旦終了しております。

■吉良議員

ありがとうございました。
 私たち県民は牛肉など内部被曝だけでなく外部被曝量も合わせて高知で暮らしていることが安全な状態なのかどうかという正確な情報、判断材料を求めています。
 現在、県が文科省の委託も含め独自でも行っているモニタリング調査の対象の品目や地点、頻度、発表方法、そして結果を健康政策部長、農業振興部長、水産振興部長それぞれにお聞き致します。

■健康政策部長

モニタリング検査につきましては牛肉以外では厚生労働省の委託を受けまして今年の2月に牛乳を対象に放射性物質の検査を行っております。県内の三つの乳業メーカーから1検体ずつ提供いただきまして計3検体を検査しましたけれども、いずれも放射性物質は検出されておりません。このほか、例年行っております文部科学省の委託調査では高知市内の農家から直接購入いたしました大根、ほうれん草それぞれ1検体を昨年12月に、また、同じく原乳1検体を8月に測定しております。さらにかつおは土佐湾沖で漁獲されたものを漁協から直接購入しまして5月6月にそれぞれ1検体測定をいたしました。かつおにつきましては、放射性セシウムが5月測定分から1キログラムあたり1ベクレル、6月測定分から0.57ベクレル検出されましたが、これはごく微量で健康には全く影響のない値でございます。また、ほうれん草、大根、及び原乳からは放射性物質は検出されておりません。これらの検査の結果につきましては県のHPで公表をいたしております。

■農業振興部長

昨年8月でございますけれども、消費者の食の安全安心への意識の高まり、また他県でも農畜産物の自主的な検査が行われていたこと、これらを踏まえまして本県の畜産物が安全安心なものであることをアピールするために検査を行いました。検査品目は7品目、米、牛肉、なす、しょうが、みょうが、にら、ししとうでございます。これら農畜産物は農業団体から提供頂いたものでございます。検査を行うにあたりましては、検査前に記者発表を行うと共に検査結果につきましては県のHPへ掲載するとともに報道関係者の方々にお知らせしたところでございます。検査結果は7品目いずれもヨウ素、セシウムは検出されませんでした。

■水産振興部長

本県の水産物につきましては消費者や流通業者から放射性物質についての問い合わせも頂いているところでございますが、本県の水産物が安全安心なものであることを確認するために自主的な検査としてかつおなどの4品目につきまして高知県海域で漁獲されたものについて検査を行ってきております。具体的に申し上げますと、かつおにつきましては県民の皆様の関心が高く、東北沖まで回遊することから7月から毎月1回実施して参りました。また、本県の主要な魚であります金目鯛、いわししらす、ごまさばにつきましては8月に3日にわけてそれぞれ検査を実施をいたしました。その結果でございますが、かつおにつきまして12月の検査で2.17ベクレルのごく微量のセシウムが検出されたのみでそれ以外は検出されておりません。これらの検査の結果につきましてはマスコミ発表行うと共に県のHPに公表さしていただいております。

■吉良議員

それぞれありがとうございました。
 県民への情報の提供のあり方について一つお考えいただきたいと思います。健康政策部長、HPで発表しているということですけれども、これもちょっと検討していただいてですね、速やかに県民に発表できる他の媒体も考えていただきたいということを要望しておきます。
 時間がないので次に食品に含まれる放射性物質の新たな基準値への対応についてお聞きします。
 厚生労働省はこれまでの食品に含まれる放射性物質の暫定規制値を見直して新たな基準値を4月1日から実施することといたしました。その内容については区分を4区分としてですね、それぞれベクレルを下げて、一般食品は1/5で100ベクレル、そして乳幼児食品は牛乳と同じ一般食品の1/2の50ベクレルとしています。飲料水は10ベクレルに引き下げられまして、より精度の高いゲルマニウム半導体検出器の配備が必要となります。
 現在その配備についての状況、そしてその稼働状況に余裕があるのか、健康政策部長にお聞きします。

■健康政策部長

本県では文部科学省の委託事業であります環境放射能水準調査によりまして衛生研究所にゲルマニウム半導体検出器1台を配置しておりまして、先ほど申し上げました牛肉等の検査などに積極的に活用して参りました。国の今年度の二次補正によりましてゲルマニウム半導体検出器が本県にも追加配備されることとなっておりまして、現在設置工事中で3月中には完了し、2台体制となりますので、検査機器の使用可能な時間という点では現在より確実に余力が出て参ります。

■吉良議員

分かりました。
 検査体制の強化ということについては一定の余力がある設備増強ができているということでございます。
 次に学校給食に放射性セシウム汚染牛肉が提供されたことは非常に衝撃的でした。そのことを受けて松山市では昨年2学期から市内の90の幼稚園、小中学校すべての給食材を県内産に切り替えると決定して、県内産が手に入らないときは、四国産、中国地方産などを使うとしております。
 本県では地産地消の観点から現在45%の食材が県内産と先の坂本議員の質問に答えていますが、子どもを内部被曝から守る観点から、松山市同様全ての給食材を県内産に切り替える措置をとるべきだと思いますが教育長にお聞きします。また、納入業者に対して指導を強めると共に、献立表に各食材の産地を明示するよう指導するお考えはないかお聞き致します。

■教育長

お話にありましたように県の教育委員会では学校給食への地場産品の活用に取り組んできておりますが、現時点では大量調理であります学校給食の食材全てをまかなうまでには至っておりません。お話にありましたことは現実的にはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。ところで教育委員会は食育の観点、産業振興の観点から給食への地場産物の活用を推進をしております。セシウムが心配なのはその通りでございますけれども、だからといって現状の中で県外産を排除するといったようなことは風評被害の助長につながりかねないことにもなるおそれがある、ということで冷静な議論が必要ではないかと考えておるところでございます。それから、納入業者等に対しての指導でございますけれどもまずは給食の設置者でございます市町村や教育委員会等に文書にまずは通知をしたいと考えています。その内容は生産地ですとか品質、鮮度等の確認、それからセシウム等放射性物質の測定結果を日常的に把握をして下さい、それから保護者等への情報提供をして下さい、といった内容のものを近々文書で通知することにしておりまして、こうした内容を研修会の機会ごとに周知を徹底をしたいと考えております。
 それから献立表の件でございますけれども、現実問題として献立表を児童生徒に配布する時期はおよそ一ヶ月前でございます。その段階では生産地の確定はできていないものがありますのでなかなか難しいかなと思っております。様々工夫して生産を表示するといたしましても食育等の観点から表示するものでございますので先ほど申しましたような風評被害につながらないような形のものを留意すべきだと考えております。

■吉良議員

本来放射性物質については閾値なしというのが当たり前になっておりますので、十分に情報を収集して各地から取り寄せる食材にあたってはですね、安全を守るよう強く要望しておきます。
 ちょっととばしまして、離乳食のことについてお聞きをします。
 乳幼児食品については50ベクレルとなっていますけど、その離乳食と対象になるのは市販の離乳食は対象になりますけれども、家庭用、保育所で作る離乳食は100ベクレルの基準値の食材をもとにつくることになっていますけれども、これについても対象外となっているわけです。乳児向け食材についても50ベクレル以内で確保できるよう検査態勢を確立すべきだと思いますが、どのような対策を考えているのか教育長にお聞き致します。
 また学校給食も同様、離乳食も含め保育所や幼稚園での給食のモニタリング実施をすべきだと考えますが、教育長にお聞き致します。

■教育長

まずセシウムの量に関しましては様々なモニタリングのデータが公表されておりますのでこれを参照して対応して頂きたいと考えております。
 それから離乳食の件でございますけれども、厚生労働省では乳児は体がちいさくて食事量が非常に少ないことから、一般職を食べさせても安全は十分確保されている、とのことでございますので、離乳食に使っても問題ないというふうに説明をしております。
 こうしたことから現在のところ特別なモニタリング調査を実施することは考えておりませんが、ただ、今後様々な情報に留意をいたしましてですね、どんな新たなことが起こるか分かりませんので柔軟な考え方を持ちながら必要性があると思われる事態になれば健康福祉部等との協議をしていきたい、このように考えておるところでございます。

■吉良議員

最後になりますけれど今後この放射能汚染については長い闘いになると思います。県民に正しく対処できる知識や対応を学べる機会を提供すべきだと思いますが、これらの取り組みを県としてどう進めていくのか、健康政策部長にお聞きして私の質問を終わります。

■健康政策部長

これまでも衛生研究所で迅速に放射性物質の検査に取り組みましてその結果をHPで公表する際には数字に関する評価も加えましてわかりやすく県民のみなさまにお伝えしてまいりましたし、保健所での相談の窓口におきましても被曝量と人への影響などの関係につきましてお伝えしてまいりました。
 こうした取り組みに加えまして来年度は保健所等で開催されます各種研修会などで新たな基準に関する講習を行って知識の普及に努めてまいりますし、加えまして来年度毎月10検体の検査モニタリングやりますのでそれを公表する際にも県民のみなさま、マスコミにも出しまして県民の皆様にもお伝えする、そういう取り組みもやっていきたいと考えております。