-
- 2021年12月27日
- 2022年度予算要望
日本共産党高知県委員会と、日本共産党高知県議会議員団は12月24日、2022年度の重点施策についての予算要望を行い、濵田省司・知事、伊藤博明・教育長に対応いただきました。
懇談では、知事から、新型コロナウイルス感染症の検査について「国の財政措置も充実し、無料の検査を実施する余地も増えている」と、早期の検査に前向きに取り組む旨の発言がありました。教育長からは、教員の増員を求める要望に対し、議会での指摘も受け、教員の定数充足率を改善したとの報告があり、今後も、教員の採用審査については、「他県の状況を踏まえ検討を続けたい」とのお話がありました。
以下、要望全文です。
2022年度 高知県予算についての要望書
高知県知事 濵田 省司 様
高知県教育長 伊藤 博明 様
2021年12月24日
日本共産党高知県委員会
委員長 春名 直章
日本共産党高知県議会議員団
代 表 塚地 佐智
新型コロナウイルス感染症に備え、万全の体制を整えることは、引き続き来年度予算案の中心課題の一つです。①ワクチンと一体での大規模検査、②医療・保健所への支援、③もれのない経済的な補償、という3本柱にそった対応を国と連携し推進することを強く求めます。
コロナ危機、気候危機による災害の増加は、対応すべき多くの課題を浮き彫りにしました。来年度予算案の編成作業にあたり、次の5つの視点を活かすことを提案します。
第1は、効率最優先の新自由主義を終わりにし、コロナ禍で疲弊した県民の命とくらしを大切にする施策を展開することです。
子育て・介護・医療などの経済的負担の軽減とともに、ケア労働と教育の体制強化と待遇改善を進めること。また地方行政のデジタル化は、利便性の一方で、個人情報の集中とその民間利益第一の活用、漏洩の危険性、自治体を国の下請け機関化する懸念など多くの問題を含んでおり、県民参加による徹底した議論、十分な納得と理解をもって進めること。
第2は、気候危機対策の抜本的強化で、質のよい成長を実現することです。
中小企業など生産の効率化、環境に配慮した一次産業の振興、住環境の改善、住民合意に基づく再エネの推進で地域循環型の経済を進めることです。また、気候危機で深刻化している災害や南海トラフ巨大地震への対策をいっそう充実させなくてはなりません。
第3は、ジェンダー平等の視点で県政全般を見直すことです。
女性幹部の登用など多様性の重視、仕事と家庭の両立を軸に、すべての県民の力と意欲が発揮できる県政を築くこと。また、セクシャリティ教育、LGBTQ施策の充実など、個人の尊厳を大切にする県政を進めること。
第4は、平和と地方自治を発展させることです。
21年は核兵器禁止条約が発効する画期的な年となりました。ビキニ核被災者救済とともに、激化する米軍機低空飛行訓練の中止など、県民の命と安全を守ること。来年は憲法施行75年であり、現憲法を生み出した源流の地・高知県として、いっそう憲法を活かした県政に努めること。
第5として、これら施策を前進させるために、県庁をはじめ公務の役割・体制充実を重視し、県民と向き合い、ともに歩む県政を実現すること。
これらの視点を生かし、下記の事項を実施するよう求めるものです。
記
●新型コロナウイルス感染症対策について
1、 強い感染力を持つといわれるオミクロン株などを想定した「第6波」への備えとして、無症状者への検査(抗原定性検査、抗原定量検査、PCR検査)を、誰もが身近に受けられる体制を整え、感染者の早期発見により、重症化を防ぎ、感染拡大を抑え込むこと。感染拡大の兆候が現れた際には、高齢者施設等で、社会的検査を実施すること。また、陽性となった検体については、ゲノム解析を行い、どの株が優勢となっているか等分析し、今後の対策に活かすこと。
2、 売上減が国の「事業復活支援金」の基準(3割減)には満たないが、売上2割減が長期に続き事業継続が難しくなっている等、コロナ禍が長期化する中、営業への影響は困難を増しています。事業者の実態を県として把握し、事業者・フリーランス等に対する県独自の上乗せ支援策を実施すること。また、特に非正規雇用など不安定な働き方の濃厚接触者等が、安心して検査・治療できるよう、休業時の給与補償・生活支援制度を整えること。
3、 和歌山県では第6波に向け「自宅療養」ゼロとなるよう想定し、医療提供体制の確保を進めています。高知県でも「自宅療養」を原則ゼロにするよう、なおいっそうの医療提供体制確保を進めること。
●気候危機対策について
4、 県の気候危機打開の計画づくりに、もっとも被害を受ける将来世代の参加を保障すること。「高知県若者気候会議(仮称)」を設置し参画の場を築くなど、「高校生・津波サミット」のような啓発と交流の取組を検討すること。また、海外での若者の行動について積極的に情報提供や交流の場を支援すること。
●教育施策について
5、 教員の長時間過密労働や、休職者への代替教員が未着任となるなど教員不足の実態があります。抜本的な教員増をはかるため、採用審査の在り方を改善すること。また、臨時教員の採用審査の合格率向上を含め、臨時教員の処遇改善に努めること。
6、 県立校の体育館や特別教室へのエアコン設置を促進し、市町村への支援を強めること。
●子育て支援
7、 県として、妊産婦医療費助成制度を創設するため、各自治体との協議や医療関係団体、当事者との意見交換を進め、必要な制度設計を具体化すること。また、県として、妊産婦健康診査の通院費助成制度を創設すること。
●一次産業支援について
8、 国が新たに打ち出した「新規就農者育成総合対策」について、これまでの新規就農者支援策である「農業次世代人材投資事業」と同様に、全額国庫負担を維持するよう、農業・園芸県である高知県として強く国へ要望すること。
●高知県史編さんについて
9、 多くの県内漁船員等が被害を受けたビキニ水爆被災を、高知県における重要な歴史的事実と位置づけ、新たな高知県史編さんにあたり、被災の実態を県としても調査・記録し、後世に広く伝えるよう記載すること。
●ジェンダー平等について
10、 現在の庁議メンバーに女性がいないことは、ジェンダー平等を求める社会的な意識の高まりを鑑み、看過できない実態と言えます。庁議メンバーに女性を登用すること。その際には、女性管理職が働きやすい県庁組織のあり方を検討し、県として足元からジェンダー平等の取組を進めること。