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- 2021年02月05日
- 新型コロナウイルス感染症対策の抜本強化を求める要望(2021.02.04)
日本共産党高知県議会議員団と、日本共産党高知県委員会は2月4日、高知県に対し、新型コロナウイルス感染症対策の強化を求める申し入れを行いました。
岩城孝章・副知事に対応いただき、コロナ禍における県民の厳しい実態を伝え、県としての取り組みを強め、国に対しても政策提言を行うなど、積極的な対策を求めました。
以下、要望書。
2021年2月4日
高知県知事 濵田省司 様
高知県教育長 伊藤博明 様
新型コロナウイルス感染症対策の抜本強化を求める要望
日本共産党高知県委員会
委員長 春名直章
日本共産党高知県議会議員団
団長 塚地佐智
貴職におかれましては、新型コロナウイルス感染症対策に尽力されていることに、心から敬意を表します。高知県内の第3波となった感染拡大に対しても、県民の外出自粛など行動抑制、飲食業者の休業・時短営業など、県民の理解と協力によって、一定の効果が上がり、なお予断は許さないものの感染者数を抑え込んできています。
一方で、新型コロナウイルス感染症は、県民の暮らしに広範かつ深刻な影響を与えており、「営業が立ち行かない」、「いよいよ暮らしていけない」など、多くの県民の皆様から、いっそうの取り組みを求める切実な声が寄せられています。次の感染拡大を未然に防ぎ、また、県民の暮らし・営業を誰一人取り残すことなく守りぬくためにも、なおいっそうの取り組みの充実が必要です。
よって、この間、寄せられた県民の切実な実態をお伝えするとともに、県としての取り組みを強め、国に対しても提言いただけるよう、以下の事項について、要望いたします。
1、 安心して治療・療養できる体制について
① 罰則規定について
感染症対策に関わって、国民に罰則を科すことは、国民との信頼関係を壊し、国民同士を分断して、感染症予防や治療の実施に対して、弊害となることが強く懸念されます。知事による「新型コロナウイルス感染症対策等のための緊急提言(第4弾)」(2020年12月28日付)における、特措法の改正に関わっての「罰則」規定を盛り込む旨の要望を撤回すること。
② 医療機関への支援
コロナ感染者対応病床を確保するためには、当該医療機関だけでなく、地域の医療機関が全体として協力することで、役割を果たしています。そのため、全医療機関を対象に、コロナ禍の影響について調査し、減収補填など必要な施策を実施すること。また国に対し積極的に政策提言すること。
③ 入院・療養についての支援
子どもや要介護者を抱える世帯などが、安心して入院、療養できるよう施策を講じること。また、全国的に自宅療養中の急変での死亡者が出ている状況を踏まえ、必要な経過観察体制を強化すること。
自宅療養を取らざるを得ない場合に、生活必需品の支給など、支援すること。
また、経過観察期間になった方が、その間、仕事に行けないことにより、減収となっている事例があるため、実態の把握に努め、減収を補填し生活を保障すること。
④ 医療・介護従事者などへの支援
医療・介護、保育など、ソーシャル・ディスタンスの確保が不可能で、かつ社会の維持に不可欠な役割を負う関係者(エッセンシャルワーカー)が、感染防止のため、家族も含めて、人との接触を減らすためにホテル生活をするなど、精神的、金銭的にも大きな負担を負っている現状があります。
実態を調査し、必要経費の支援をすること。また、第二弾の慰労金を、対象を広げて実施するよう国に求めること。
2、 積極的検査体制の確立について
① 医療機関・福祉施設などへの検査の支援
医療機関・福祉施設などで、クラスター発生を未然に防止するため、自費による、自主的な抗原検査などを実施している事例が見られます。このような自主的な検査に対して、県として必要な財政的支援を講じること。
② 感染震源地(エピセンター)への「面の検査」
感染の大規模拡大期に、感染震源地がどこであるかを明らかにし、大規模・集中的な検査が必要となることから、そうした局面を想定し、県として検査体制の確保をすすめるとともに、国に対して「面の検査」の積極実施を政策提言すること。
③ 「濃厚接触者」に限定しない、感染リスクのある接触者の検査
「感染者がマスクを着けて接触した人は、『濃厚接触者』に該当しない」など、「濃厚接触者」の範囲は限定的なものとなっています。厚生労働省も、接触者について、広く行政検査の対象とすることは可能としており、「濃厚接触者」に必ずしも当たらない事例についても、感染リスクをかんがみ、接触者を積極的に検査すること。
④ 保健所の人的・財政的支援強化
感染追跡を行うトレーサーなど、保健所の臨時的な人員強化をはかること。また、今後の抜本的な保健所体制の強化のため、定員増員など必要な施策を検討すること。
3、 事業と雇用を持続できる補償・支援策
① 自粛要請に伴う補償について
県として、飲食業などの取引業者や自粛の影響を受けた事業者への給付金支援を打ち出したことは、県民要望に応えるものとして、強く歓迎するものです。ついては、事業者に対し、早期の、円滑な給付金交付が可能となるよう、体制強化など取り組むこと。
また、国に対して、持続化給付金・家賃支援金の第二弾の実施、事業規模に応じた支援制度の構築を求めること。
② 地方創生臨時交付金について
地方自治体の独自の給付金・支援金など、柔軟かつ十分な感染症対策の財源を保障するために、地方創生臨時給付金の大幅積み増しを国に求めること。
4、 困窮者への緊急支援策
年末年始に、市民団体やボランティアによる相談・支援活動が高知県内も含め各地で取り組まれました。コロナ前は「ふつうの生活」をしていた方が、住居を失い、日々の生活にも事欠くなど深刻な状態に追い込まれ、「公助」の必要性が露わになっています。
① 生活保護制度
「生活保護は権利」をさらに徹底し、自家用車の所有などのコロナ特例を積極活用し、加えて、「家族・親族に知られたくない」など申請の高いハードルとなっている「扶養照会」は免除するなど、必要な人が躊躇なく生活保護制度を利用できるよう、県としても取り組むとともに、国に対して強く要望すること。
② 生活福祉資金
昨年、春から夏にかけて、総合支援資金を借りた方が、感染の再拡大によって、収入が確保できず、生活に困窮している実態があります。そのため、総合支援資金の貸付の延長・拡大と、返済要件の大幅な改善・緩和を講じること。
③ 支援制度の周知徹底、窓口強化
生活に困っている方に、支援制度が十分知らされていない状況があります。インターネットやテレビ・ラジオCMなどを活用し広く周知徹底すること。その際、高知家の一員として高知で生活をされている外国人にも情報が届くよう、広報内容を工夫し、相談体制等も強化すること。
5、 学校・保育所などの感染症予防対策
① 制服などに関わる柔軟な校則運用
コロナ対策として、学校における教室の換気が求められていることから、防寒着の着用の許可、女子のスラックスの着用など柔軟な対応をすること。また、感染症予防の観点から毎日選択した清潔な衣服が着られるよう、制服に限らない登校も検討すること。
② 保育所・幼稚園、学校などへの職員加配
保育所・幼稚園や、学校などで、消毒業務などが保育士や教諭への大きな負担となり、子どもと向き合う時間を圧迫するという悩みが寄せられています。年齢や障碍によっては、子どもが感染症対策を理解し実行することにも特段の困難を伴い、丁寧な対応が必要ともなっています。よって、消毒など感染症対策に携わる職員を配置すること。
6、 学生支援
「オンライン授業では理解が十分にできず、学業についていけない」、「友人もできず心が折れそう」、「バイトが減り、食事を一日一食にして耐えている」など、県内における学生への食料無料提供活動の場では、切実な学生の実態が寄せられています。この状況が放置されれば、退学、休学など続出することが懸念され、社会にとっても大きな損失となります。
① 学費減免
抜本的な学費の減免拡大を国に求めること。
② 学生支援金の再給付
アルバイト収入が減少しても、学生バイトは実態として労働保険への加入がなされていない場合が多く休業支援金・給付金の対象から外れてしまっています。また、親・保護者は一定の収入があるが、親との関係が良好でないなどの理由で、仕送りもなく、公的な支援も対象とならないという実態もあります。学生支援緊急給付金を再支給するとともに、その際には、世帯単位ではなく学生個人の特段の事情に配慮するなど、制度の対象範囲を拡大し、必要な学生に一人残さず公的支援が届くよう、国に求めること。
③ 「公助」としての食料支援実施
筑波大学で実施したように、食料支援を「公助」として取り組むこと。あるいは、現在、ボランティアが実施している食料支援を公的に援助すること。
7、 文化芸術への支援
① 文化芸術活動への感染症対策助成
文化芸術は、人間が人間らしく生きるために必要な営みであり、けして絶やすことはできません。県民の日常的な文化芸術活動が継続できるよう、「KOCHI ART PROJECTS」助成金(対象経費の3/4以内、上限10万円)の上限の引き上げをはかること。
② 会場使用料の助成
開催自粛や中止、延期などで文化芸術団体はかつてない苦境にあります。文化芸術団体を支援し、その発表の場を確保するために、会場使用料の半額助成を行うこと。
③ 文化・芸術関連事業者への支援
舞台などに関わる証明・音響等関連事業者への支援を行うこと。
【PDF】20210204covid19