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- 2017年04月28日
- 「美しい日本の憲法をつくる国民の会」主催「公開憲法フォーラム」への知事のビデオメッセージ出演について再考することの申し入れ
日本共産党高知県委員会と、日本共産党高知県議会議員団は、尾﨑正直県知事が、定例記者会見で「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が主催する公開憲法フォーラム「憲法施行70年、各党は具体的な憲法改正原案の提案を!」(5月3日)にビデオメッセージで出演することを明らかにしたことを受けて、4月28日、再考の申し入れを行いました。県からは、副知事が対応しました。
以下、申し入れ文書。
高知県知事 尾﨑正直様
「美しい日本の憲法をつくる国民の会」主催「公開憲法フォーラム」(5月3日)へのビデオメッセージ出演について再考することの申し入れ
2017年4月28日 日本共産党高知県委員会
同 高知県会議員団
尾﨑正直知事は、定例記者会見で「美しい日本の憲法をつくる国民の会」(以下「国民の会」)が主催する公開憲法フォーラム「憲法施行70年、各党は具体的な憲法改正原案の提案を!」(5月3日)にビデオメッセージで出演することを明らかにした。
ここには県民の立場からみて、きわめて懸念させる問題が存在する。
「国民の会」のホームページは、日本会議のホームページ上の「憲法改正」欄から直結しているように、実体は日本会議が展開する憲法改定運動であり、その役員は日本会議関係者が要職をしめている(共同代表3名中2名が「日本会議」の会長経験者、事務局長は日本会議事務総長、幹事長は日本会議政策委員)。
日本会議は、戦後政治について「東京裁判史観」「先の大戦を一方的に断罪するわが政府の謝罪外交」と侵略戦争を否定するとともに、「行きすぎた権利偏重の教育、わが国の歴史を悪しざまに断罪する自虐的な歴史教育、ジェンダーフリー教育の横行」「夫婦別姓を導入する民法改正案や男らしさや女らしさを否定する男女共同参画条例」(日本会議のめざすもの、活動方針より)と戦後の民主主義と国際的な人権規定を敵視する立場をとっており、海外メデイアからも「歴史修正主義者」として厳しい目をむけられている団体である。
そのもとで改憲運動を主導する「国民の会」も、「日本国憲法は、敗戦後、連合国軍の占領下でGHQに押しつけられた『占領憲法』です」(国民の会Q&Aより)と二度の憲法調査会でも否定された「押し付け憲法」との特異な立場をとっている。
そして「国民の会」が掲げる改憲が必要な理由として、「前文」…美しい日本の文化伝統を明記すること。「元首」…国の代表は誰かを明記すること。「9条」…平和条項とともに自衛隊の規定を明記すること。「環境」…世界的規模の環境問題に対応する規定を明記すること。「家族」…国家・社会の基礎となる家族保護の規定を。「緊急事態」…大規模災害などに対応できる緊急事態対処の規定を。「96条」…憲法改正へ国民参加のための条件緩和を、であり、現行憲法の国民主権、平和主義、基本的人権の三原則への改変を持ち込むものと、幅広い国民からの危惧の声があがっている。今回のフォーラムもこうした改憲のための機運を広げるための一環としておこなわれている。
また、尾﨑知事の持論である「緊急事態条項の設置のための憲法改正」についても、知事自身が権力乱用の負の側面を指摘し、「憲法にかわわることですから、これは徹底した議論を当然する必要がある」(16年3月議会)と、まず徹底した議論を呼びかけており、東日本大震災を「緊急事態対処の憲法規定があれば、多くの国民を災害から守ることができました」と改憲のために事実をねじまげるような団体が主催する同フォーラムが冷静な議論にふさわしい場とは言えない。
さらに、憲法第99条では「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」と規定しており、このことからも極めて慎重な対応が求められているところである。
よって、このフォーラムに参加することは、知事が、日本会議や「国民の会」の立場全体を肯定的にとらえたものと県民に映ることは必至であり、県民の中に重大な分断と県行政への誤解、不信をもたらす危うさをもっている。
71万県民を代表する県知事として、こうした目的を持った団体の主催する行事への参加は自重すべきである。
日本共産党高知県委員会、高知県会議員団は、尾﨑知事のビデオメッセージでの参加について再考することを強く求めるものである。
以上